日本人が観光で赴くことが多いハワイ。しかしハワイ神話を詳しく知っている人は多くないと思います。
およそ5世紀頃にポリネシアの原住民が移住してきた事からハワイの歴史は始まります。
ハワイ神話もこの時に、島に住む人の宗教観として広まりました。
今回はそんなハワイ神話の中から、有名なカマプアアについて書いてみたいと思います。
実はイケメンの豚の神様「カマプアア」

カマプアアと言う名前は、訳すと「豚の子供」となります。
出自はオアフ島といわれ、女神ヒナの子供にして半身が人間、もう半身が豚の神様です。
と言っても、常にこの形態をとるのではなく、時に人間のイケメンの姿で現れたり、通常モードの時は獰猛な豚の姿を取ります。
この時の豚には目が八つもあり、非常に恐ろしいといわれます。
豚の祖でもあるイノシシの凶暴性をうまくあらわしていますね。
一説には背中に剛毛が生えていて、これを隠すためにマントを着用しているのだとか。
カマプアアはゲームに登場する際にマントをつけていることがありますが、それはこの逸話に由来しているのです。
その他にもムフムヌクヌクアプアアと呼ばれる魚に変身し、河川や海を自由に泳ぎ回ると言います。
海の神様として王家のために勇敢に戦う戦士でもあるからです。
非常に女好きの神様で、ギリシア神話のゼウスの様に女性にまつわる逸話も多く残っています。
火山の女神ペレとの関係
カマプアアを語る上で外せないのが、女神ペレの存在です。
女神ペレは火山の神様ですが、現代でもハワイでは溶岩が噴出する際にペレが怒ったと比喩される事があるほど認知されています。
元々は火山の持つ脅威や、マグマの熱を神格化した物だと言われます。
このペレに求愛し続けたのがカマプアアといわれています。
ある日ペレが妹と一緒に散歩していると、イケメンに変身したカマプアアが寄ってきました。
この時、既にカマプアアはペレに一目ぼれしていたため、あらかじめイケメンに化けて待っていたのです。
ペレは身の危険を感じる程しつこいカマプアアに恐怖を覚え、妹が機転を利かして自分の性器を投げ捨てます。
それにカマプアアが気を取られている内に両女神は逃げだすことに成功したというのです。
しかし、後日火山に上っている際に火口付近で踊っているペレに遭遇します。
急いでイケメンの姿に変身しますが、今度はペレに見破られてしまいます。
「この豚が!」となじられたことをきっかけに、カマプアアとペレはその場で戦いを始めます。
結果はどうなったかと言うと、カマプアアが勝利します。
ペレは求愛を受け入れ、二人は夫婦になりました。
その後の夫婦生活は愛憎入り混じり、この二神は頻繁に喧嘩をします。
そのたびにペレは火山を噴火させ、海の神さまであるカマプアアは洪水を起こして島民を悩ませると言います。
ついにはハワイ島を分割して統治しようと言う事になり、乾燥した地域をペレが管轄、湿った地域をカマプアアが治める事となりました。
この自然現象に端を発する神格化は興味深く、海だけでなく農耕や牧畜の神様でもあるカマプアアが豊穣を司り、火山によってそれらすべてを破壊するのがペレの象徴となっています。
他の神話にも言える事ですが、普段人間が生活する中で脅威となる自然現象をより身近に感じ、結果後世に伝達する事になる具現化はここでも見て取る事が出来ます。
最終的にカマプアアはペレに見切りをつけて海底に行ってしまいます。
その時になって、ペレはカマプアアを恋しがり涙を流したと神話上では伝えられています。
創生神話クムリポでのカマプアア
実はこのカマプアア、ハワイの創生神話の中に登場すると言われています。
これはクムリポと呼ばれる叙事詩で、王家要人の誕生を祝って作られたと言います。
この話の中で、「夜地面を掘る者」と言う逸話が出てきますが、これは元々豚が夜間に鼻で地面を掘る所から想起されています。
この豚が転じてカマプアアそのものになったと言われていますが、そもそもハワイではタロイモの収穫などは農耕における重要なメタファーになって居ます。
ハワイでの文化が整備、熟してきた事も見て取れますが、他地域の神話とは少し違い農耕そのものに神格化を見出している点が興味深いです。
こうして、市民の生活に深く根付いたカマプアア。
ある意味豚信仰が具現化された神様とも見て取れます。
ハワイ神話とカマプアア
今回はカマプアアに焦点を当ててみました。
ハワイ神話も他国のそれに負けず劣らずの様々な逸話があります。
カマプアア、ペレの他にもカナロアやクーと言ったメインとなる神様もいますし、総勢35名程も神様が登場します。
それぞれ自然現象を分かりやすく具現化されていたり、神様同士で喧嘩したりと人間臭く書かれているのもハワイ神話の特徴。
その中でカマプアアは一層性格が鮮明に描かれ、結果現代ではとっつきやすい神様として認知されています。
今後ハワイに旅行に出かける際には、こうした豚の神様に思いをはせてみるのも一興ではないでしょうか。
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