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これはひどい!ギリシア神話の報われないヒロイン・アリアドネ

バッカスとアリアドネ
『バッカスとアリアドネ』(1520年-1523年,ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)

ギリシア神話に登場するアリアドネは、テセウスによるミノタウロス退治の時に、大きな貢献をした人物です。

ところがその後の扱いはあまりにもかわいそう…。

そんな報われない彼女のエピソードをご紹介したいと思います。

クレタとアテナイの戦いの後で

『Bacchus and Ariadne(バッカスとアリアドネ)』(Giovanni Antonio Pellegrini )
『Bacchus and Ariadne(バッカスとアリアドネ)』(Giovanni Antonio Pellegrini 、原典

アリアドネはギリシア神話の登場人物で、クレタの王女です。

彼女がどんな人物かを説明する前に、まずクレタとアテナイの争いについて説明する必要があるでしょう。

昔、クレタとアテナイの戦争が行われ、負けたアテナイは定期的に、少年少女を七人ずつクレタ島へ差し出すことになりました。

牛頭人身の怪物、ミノタウロスの生贄とするためです。

ミノタウロスは迷宮に閉じ込められており、生贄はこの迷宮の中をさまよううちに、いずれはミノタウロスに遭遇、食べられてしまうという運命でした。

アテナイの王子テセウスはミノタウロスを倒し、この忌まわしい取り決めを終わらせようと考えました。

そこで自ら生贄に志願し、クレタ島に渡ったと言われています。

アリアドネの糸

ラビリントスを進むテセウスとミノタウルス(Edward Burne Jones, Theseus_and_the_Minotaur_in_the_Labyrinth)
ラビリントスを進むテセウスとミノタウルス(Edward Burne Jones, Theseus_and_the_Minotaur_in_the_Labyrinth)

さて、このテセウスに一目惚れしたのが、アリアドネでした。

彼女は自分を連れてクレタをでて妻とすることを条件に、テセウスに手助けを申し出ました。

ミノタウロスの閉じ込められている迷宮は、とても複雑な造りになっています。

たとえミノタウロスを倒したとしても、迷宮から出ることができなければ、無事に帰ることはできません。

そこでアリアドネが提案したのが、糸玉を持って迷宮に入ることでした。

迷宮の入り口に糸を結び付けておき、糸をたぐりながら迷宮に入っていけば、その糸を辿って迷宮から出られるというわけです。

彼女の助力あって、テセウスは無事ミノタウロスを倒し、迷宮から脱出することができました。

アリアドネの協力がなければ、テセウスは迷宮をさまよい続けることになったはず。

彼女はテセウスの命の恩人と言っても過言ではないでしょう。

ちなみに現代でも、難問を解決するための鍵を「アリアドネの糸」ということがあります。

なぜか途中で置き去りに

ナクソス島に眠るアリアドネ
『ナクソス島に眠るアリアドネ』(1808年-1812年,ジョン・ヴァンダーリン)

さて、アテナイへと戻る途中、一行はナクソス島へたどり着きます。

ナクソス島は、ディオニュソスの住む島でした。

ディオニュソスは酒や豊穣などの神とされており、「オリュンポス十二神」に数えられることもある神様です。

この島に着いた後のアリアドネの消息については、諸説あると言われています。

しかしどうやら彼女、なんとナクソス島に置いていかれた説が濃厚なようです。これはひどい。

『Ariadne Abandoned by Theseus(テセウスに見捨てられたアドリアネ)』
『Ariadne Abandoned by Theseus(テセウスに見捨てられたアリアドネ)』(Thomas Rowlandson(トマス・ローランドソン画)、原典

結婚する約束はどうなったんですか……と、テセウスを問いつめたくなりますね。

置いていかれた理由にも諸説あるようです。

ディオニュソスがアリアドネに惚れ込み、奪ってしまったという説や、悪阻がひどかったため一旦休ませようと置いていったという説など。

しかしいずれにせよ、テセウスとは結ばれなかったようです。

相手が神様では、さすがの英雄テセウスもどうにもできなかったのかもしれませんが……。

もし体調不良のために置いていったのなら、ちゃんと迎えに来て欲しいものですね。

かわいそうなアリアドネ。ディオニュソスと幸せに暮らしていますように!

バッカスとアリアドネ
『バッカスとアリアドネ』(1520年-1523年,ティツィアーノ・ヴェチェッリオ)

ディオニュソス(別名バッカス)のような、力のある神様に見初められたのならば、ナクソス島に置き去りにされたアリアドネも、そう不幸にはならなかったかもしれません。

とはいえ、元々は祖国を捨てるほどテセウスに惚れ込んでいた彼女です。

その彼に置き去りにされたとあっては、単純に幸せいっぱいというわけにはいかなさそうですね。

ちなみに、アリアドネとディオニュソスは、ルネサンス期の巨匠・ティツィアーノなどによって、いくつもの絵画に表されています。

このような絵画を鑑賞する機会があれば、同時にアリアドネの複雑な心境に思いを馳せてみるのも一興ではないでしょうか。

天の川の起源 (The Birth of the Milky Way,ピーテル・パウル・ルーベンス/画, 1636-1637)

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