天使と聞くとどんなイメージをお持ちでしょうか。
背中に羽が生えた成人で、微笑みを携えた優しそうな雰囲気。
人間のピンチに力を貸してくださる存在で、時に勇壮な姿で描かれる事もある神様の使い。
この様なイメージをお持ちではないでしょうか。
世界中の神話や宗教の中で様々な天使が登場しますが、今回は聖書にまつわる代表的な天使をご紹介してみたいと思います。
代表的な4人の大天使とは

まず聖書に関しては正典と外典・偽典の二つのカテゴリーに分けられます。
しかし、実は正典に名前の記述が存在する天使は非常に少なく、ほとんどは外典・偽典に登場します。
その中でも、ここでは知名度の高い代表的な4大天使をご紹介します。
ミカエル

旧約聖書にも登場し、他の様々な宗教宗派に影響を与えた天使です。
熾天使の位に位置するとも言われ、天使の長の様な扱いを受ける一番有名な天使です。
ミカエルと言う名前も訳すと「神のような」と言う意味合いがあり、勇壮な話が多いのも特徴でしょう。
それにより、時に死を司る天使とも言われステンドグラスや絵画の中では甲冑で身を包んだ姿で表される事が多いです。
これは、聖書に記述がある通り天使ルシフェルが神に反旗を翻し戦いを挑んだ際に、神側の陣営の最前線で戦ったのがミカエルだった事に関係していると思われます。
手に剣を持っているのも象徴的で、特にカトリックでは重要な天使の筆頭として扱われています。
ガブリエル

ミカエルと同じく聖書にも登場し、且つイスラム教等にもその名を見る事が出来る大天使です。
中性の絵画では女性の姿で描かれる事も多く、聖母マリアに受胎告知した天使として重要な天使です。
本来中性的な面持ちで描かれる事の多い天使ですが、ガブリエルに関してはことさら女性的に描かれています。
これは、マリアに懐妊を告げると言うディティールも相まって、より女性的なイメージで浸透したからだと思いますが、古くはシュメールが起源とも言われる由緒ある天使でもあります。
象徴的なのは手にユリの花を持っている事でしょう。
最後の審判の際にラッパを吹きならすのはガブリエルの役目とも言われています。
ラファエル

元々はユダヤ教に登場する天使です。
実は正典の方には登場せず、その名が見られるのは外典の中のトビト記とエノク書になります。
名前を訳すと「神の癒し」となり、その名の通り話の中では怪我を治したり痛みを和らげて救いをもたらしたりする描写が多いです。
又、旅の安全を司る側面もあり、古くは水筒や杖を持った姿で描かれています。
トビト記自体、昔は正典の一部とされていましたから、先の二人の天使と同じく重要な位置にいる天使である事は変わりません。
信仰する人々の数々の困難を解決する描写が多い事から、宗教の中での救いをうまく体現した天使と言えるのではないでしょうか。
ウリエル
ユダヤ教の中の神秘主義派の人々にとって重要な天使です。
ウリエルと言う名前には「神の炎」と言う意味合いがあり、時に手の中に燃える炎を持った姿で描かれる事もあります。
他の天使と比べると担う役割も多く、気候や天体に関する管理、自然現象全てを司るとも言います。
神が大洪水を起こし人類を一度滅ぼそうとした際も、ノアに助言をしたのもこのウリエルです。
ヘブライ圏の伝承によれば、エデンの園を守っている天使でもあり、その際には燃える炎の剣を持っていると言われています。
最後の審判の際には神に反逆する者に制裁を加えるとも言われていますし、時に人類のすべての魂を審判が行われる席に座らせる役目も担っています。
宗派によって在籍する者が異なる7大天使

キリスト教、ユダヤ教を中心として「7大天使」と言う名でくくられる天使の一団が存在します。
先に挙げた4大天使は殆ど共通ですが(ウリエルのみ場合によっては外れる事あり)、この4人に重要な天使を3人付け加えたものが7大天使になります。
様々な書物にその名が出てきますが、それぞれ別の3人の名前が出てくるところが興味深いです。
代表的なエノク書の中では
- レミエル
- ラグエル
- ゼラキエル
となっています。
これがユダヤ教のカバラ(神秘思想)になると
- メタトロン
- サンダルフォン
- ラジエル
となっていたりします。
東方正教会の教えに至っては
- バラキエル
- セラフィエル
- イエグディエル
- イェレミエル
と4人追加される場合もあり、もはや8大天使になっている事も。
ユダヤ教に始まり聖書の中でも7と言う数字は非常に重要な意味合いをもっています。
旧約聖書の最初にも神は7日間かけて世界を創造したとあります。
教義の中でこれに天使を割り当てた事で広めやすく、そして認知されやすくなったのだと思われます。
また、7を分けた際のそれぞれ3と4の数字自体も重要視されています。
3は三位一体の数字、4は世界のバランスを司る数字だと言われます。
この話も非常に体系化されていて奥が深いものですので、機会があれば触れてみたいと思います。
堕天したグリゴリの天使たち

グリゴリと呼ばれる神に遣わされた天使の一団がありました。
訳すと「見張る者たち」と言う意味合いで、元々は人間達が品行を誤らない様に地上に降りてきたと言います。
その数200人の一団とも言いますが、更にそれを管理する役職者的な位置にシェムハザ、ラメエル、サタナエル等が存在しました。
彼らはある時、それぞれ好みの人間の女性を妻にする事に決めます。
そして、そのことについて裏切ることがないよう、皆で誓いを立てます。
その後地上に降り立った天使たちは、人間に様々な知識を伝授してしまいます。
男性には武器防具の作り方や薬草の作り方、女性には化粧の仕方や占星術などを教えたとあります。
しかし、それが神の怒りに触れるきっかけとなってしまうのです。
この辺りは顕著に戒訓を見出す事が出来、これによって男性は争そう事を覚え、女性はたぶらかすことを覚えてしまったと言われています。
中世の頃になると錬金術がヨーロッパで盛んになりますが、これも元々は魔法に長けたシェムハザが人類に教えた占星術や呪術が元になっていると信じられてきました。
その後グリゴリの天使たちは神意に逆らったとして、みな堕天使となります。
彼らの妻との間に出来た子供達は皆ネフィリムと呼ばれた巨人族で、身長がそれぞれ1300メートルもあったと言います。
ネフィリムは地上の作物を食い荒らし、人間達を困らせる事になってしまいます。
これが結果的に神が大洪水を起こすことに繋がっていくのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回ここでご紹介した以外にも、天使はたくさんの書物に登場します。
興味のある方は、ユダヤ、キリスト経関連の書物を読んでみると良いでしょう。
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