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有名なあの「なぞなぞ」の出典はギリシア神話だった!

オイディプスとスフィンクス
オイディプスとスフィンクス(Carole Raddato from FRANKFURT, Germany)原典

「なぞなぞ」と聞いてあなたはどんな問いを思い浮かべますか?

「点々をつけると、踊り出してしまう家具とは何か?」
「下は大火事なのに上は大洪水。これは何か?」
「アンパン、食パン、カレーパン。この中で人の話を聞くことができるのはどのパンか?」
「何も考えずに穴の下にいると、見えるものは何か?」

一口に「なぞなぞ」と言っても、そのレパートリーは多く、簡単なものから難解なもの、メジャーなものからマイナーなものまで多岐に渡ります。

そんな「なぞなぞ」の中でも、ギリシア神話に関連する比較的有名なものを1つご紹介します。

「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足」

「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足。これは一体何か?」

この「なぞなぞ」を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか?

そう。答えは「人間」です。

赤ん坊は両手と両足を使ってハイハイで歩くため4本足の朝。

やがて成長し手をつかずに歩く昼。

年老いて杖が必要になった夜…。

人間の一生を一日に例えた問いです。

じつはこれと同じ問いが、ギリシア神話のオイディプス王の物語に存在することはご存知でしょうか?

ギリシア神話:オイディプス王の物語

『Oedipus and the Sphinx(オイディプスとスフィンクス)』(Gustave Moreau(ギュスターヴ・モロー画)
『Oedipus and the Sphinx(オイディプスとスフィンクス)』(Gustave Moreau(ギュスターヴ・モロー画)、原典

上記の「なぞなぞ」が登場するのは、ギリシア神話のオイディプス王の物語です。

まずは、あらすじを簡単にご紹介しましょう。

物語の舞台は「テーバイの国」。

この国の王に男児が生まれます。

しかし国王は「男児が生まれたならば、その子はやがて父親を殺すであろう」という神託を受けていました。

よって、王は生まれた子供を隣国との国境近くの山中に捨てさせます。

しかし、その子供は隣国の王に運よく拾われ、王夫婦に育てられることとなります。

この隣国の王に拾われた子供が、物語の主人公、オイディプスです。

成長した彼はやがて「父親を殺し、母を娶るであろう」という神託を受け、それを避けるため故郷を後にします。

しかし、故郷を出たオイディプスがたどり着いたのは「テーバイの国」でした。

そうとは知らぬまま、彼は本当の生まれ故郷に帰ることとなったのです。

テーバイへ帰った彼は、そこで民を苦しめていた怪物スフィンクスの存在を知ります。

そしてその怪物と対決、これを退治したことで国王として迎えられることとなります。

しかしその時、テーバイの王妃であり、新たに彼を夫に迎えたのは彼の実の母親でした。

またテーバイへの道中、とある山中で彼は道の取り合いから老人を殺してしまいました。

なんと、その老人は実の父親だったのです。

これらの真実を知った王妃は、自らの命を絶ちました。

そしてオイディプス自身も自ら両の眼を潰し、盲目となり流浪の旅に出るのです。

以上が、この物語の簡単な内容です。

この中に登場する怪物、スフィンクスこそが「なぞなぞ」の出題者なのです。

神話の怪物、スフィンクス

オイディプスとスフィンクス
オイディプスとスフィンクス(Carole Raddato from FRANKFURT, Germany)原典

「なぞなぞ」を出題する怪物、スフィンクス。

その顔は人間の女性、胴体はライオンの姿であると言われています。(中には、これに加えて鳥の翼を持つとする場合もあります。)

『Sphinx of Hatshepsut(ハトシェプスト女王のスフィンクス)』
『Sphinx of Hatshepsut(ハトシェプスト女王のスフィンクス)』(原典

スフィンクスという単語は、あなたも一度はゲームや漫画、世界史などで耳にしたことがあるのではないでしょうか?

本来、スフィンクスはエジプト神話の生物であるとされています。

しかしその存在は、ギリシア神話やメソポタミア神話などにも取り入れられており、幅広い地域の神話や伝承に登場します。

エジプトで有名なスフィンクスと言えば、ギザ大地にある三大ピラミッド近くに存在する、大スフィンクスではないでしょうか。

ここでのスフィンクスは「王家のシンボル」「王の偉大さの象徴」「守護者」など神聖な存在とされています。

ですがギリシア神話におけるスフィンクスは、「民を困らせ、人を食らう怪物」という、エジプトとは異なった存在として扱われています。

同じ姿形でも、一方は善、もう一方は悪の存在。

それは人間の中にもある善悪の二面性のようにも感じられます。

心理学にも受け継がれたエピソード

「エディプス・コンプレックス」という言葉をご存じでしょうか?

これは主に心理学で使われるものですが、これも実はこのオイディプス王の物語から創られたものです。

オイディプスは父親を殺し、母を娶りました。

これと同様に、人間の男子は幼児期に無意識に母親に愛着を持ち、自分と同性である父親に敵意を抱く心理傾向を持っているというものです。

「エディプス」というのはオイディプスの英語風の呼び名です。

「エディプス・コンプレックス」とは、精神病理学者であるフロイトがこのエピソードから創造した心理学用語なのです。

この他にも心理学用語の元となった神話の物語は多数存在しますので、興味がある方は調べてみると面白いかも知れません。

最後に…

オイディプス王の物語は、結果「彼の父が受けた神託」と「彼本人が受けた神託」その両方が現実となるというものです。

神託を双方が避けようとした結果、その通りになってしまう……。

最善を選んだつもりが全く逆の結果になってしまう……。

なんてことは現在、日々生活を送る中でも実際にあることではないでしょうか。

神話が作られた遠く遥かな過去。今ある現在。

時間は遠く離れ、生活や文化も違ってはいますが、過去の人々も現在の人々も、どこか同じ考えのようなものが奥底にあるのではないかと筆者は思います。

そしてそれが、古代の神話が現在に残り、また、ゲームや小説、漫画、絵画という芸術から遊びまでのあらゆる作品に用いられる所以なのかも知れません。

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