座敷わらしと聞いて、皆さんはどういうイメージを持つでしょうか?
その名の通り、幼い男の子を思い浮かべる人が多いかもしれません。
今では広く知られた妖怪でもあり、人気アニメ「妖怪ウォッチ」の中にも登場しています。
ここでは、そんな座敷わらしにスポットを当て、言い伝え等について解説していきます。
東北地方から有名に
座敷わらしは、岩手県を中心に伝説が残っていますが、東北地方一体にも広がっているようです。
東北発の妖怪でもあるのでしょう。
有名な柳田国男の「遠野物語」にも座敷わらしが登場し、次のようなエピソードがあります。
しかしある日のこと、家人が廊下で男の子の姿を目にし、大いに驚いたということです。
また同じ村の佐々木氏のところでは、母親が縫い物をしていると家の主人の部屋から紙のガサガサする音がし、扉を開けたところ誰もいなかったようです。
座って観察していると鼻を鳴らす音がし、彼女は座敷わらしがいるのだと思ったとのことです。
上記どちらの家も財産家として知られていたようです。
座敷わらしが家に住み着いているとお金持ちになる、という言い伝えがありますが、先のエピソードはそういう言い伝えをも表しているのかもしれません。
宮沢賢治と座敷わらし
詩人であり童話作家でもあった宮沢賢治は、数々の作品を残しています。
生前に刊行した書籍は自主出版の「注文の多い料理店」のみであり、死後になって広く知られるようになりました。
そんな賢治も座敷わらしの話を書いています。
岩手県出身であり、「遠野物語」の協力者であった佐々木喜善と親交があったようなので、当然と言えば当然でしょう。
賢治が残した座敷わらしの話は、「ざしき童子(ぼっこ)のはなし」というものです。
賢治が暮らした地域では、座敷わらしはざしき童子(ぼっこ)と呼ばれていたのでしょう。
いくつかのエピソードが取り上げられていますが、以下のようなものがあります。
知らない人はいないのに、どう数えても十一人でした。
家人が出てきて、増えたのがざしき童子だと指摘しました。
しかし子供たちは決して自分ではないと目を張りながら、きちんと座っていたとのことです。
実にほのぼのした感じですが、座敷わらしは時にイタズラをするよう。
まさに賢治の話では、そんなキャラクターがよく表現されています。
そう言えば、賢治の童話に「風の又三郎」という作品があります。
転校生の男の子が伝説の又三郎のように描かれ、地域に伝わる風の神の子の言い伝えがヒントになっているとの指摘もあります。
けれどもどこか座敷わらしに通じるようなものがあり、これもまた興味を掻き立てられるテーマですね。
東北以外でも座敷わらしがいる?
座敷わらしは東北地方を中心にした妖怪とお話しましたが、東北地方以外でも似たような伝説があります。
たとえば山梨県ではお倉坊主という座敷わらしのような妖怪がいて、倉の中で暮らしているようです。
また石川県ではマクラガエシという妖怪がいて、高慢な顔をした者などは隣室に引き出されたりするようです。
さらに現代でも座敷わらしの話があるようです。
場所は群馬県であり、しかも舞台がマンションということです。
都市伝説のようですが、群馬県のあるマンションでは、夜中になると子供がバタバタ走り回るようです。
一般的に夜中であれば子供は就寝していることでしょう。
しかしそんな時間でも走り回るということは、座敷わらしと思ってしまうことは仕方ないかもしれません。
そうは言っても、子供の足音を聞いた人は子宝に恵まれたり、宝くじが当たったりしたことがあるようです。
これもまた幸運をもたらす現代版座敷わらしの伝説なのでしょうか?
座敷わらしの正体とは?

座敷わらしとは一体何であるのか諸説あるようですが、子供の霊と指摘している人がいます。
かつて日本の村では、時折間引きが行われていました。
間引きによって亡くなった子供が霊となって現れているということです。
おそらく人々の後悔の念等が座敷わらしとなって目にしていたのかもしれません。
また旅人を金銭目的で殺害した旧家等に出ていることから、村の暗い部分の象徴との説があったり、実は座敷わらしは河童と同じとの言われもあるようです。
いずれにせよ暗い部分がクローズアップされているようですが、金運をもたらす妖怪でもあります。
元々日本の村では、子供は神の子のような扱われ方をしていました。
道端で地蔵様を見かけることがありますが、共通点の一つに子供のような顔をしていることがあげられます。
もしかすると座敷わらしも神の子のような存在であり、だからこそ幸運をもたらしてくれるのかもしれません。
ちなみにここでいう神は、キリスト教等のゴッドとは異なります。
アニミズム的な神々の一種であり、全知全能である一神教の神とは違っています。
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