天狗と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?
マンガやアニメ等にも登場し、古くから物語の中にも登場しています。
ここでは天狗伝説にスポットを当て、一体天狗とは何であるのかを考察していきます。
天狗の特徴とは?

天狗の特徴といえば、赤ら顔で鼻が高いということでしょう。
「アイツは天狗だ」という言い方もあり、今風に言えば「上から目線」に近いかもしれません。
要するに鼻が高いことを比喩のように使い、傲慢であったり横柄な人を意味しています。
また白装束で空を飛び、風を自由に扱える団扇を持ち、山奥に住んでいるということも一般的特徴かもしれません。
しかし上記の特徴は、中世あたりに確立したもので、比較的後年のようです。
「日本書紀」では中国の言われに近いことが語られています。
すなわち流星を示して天狗の言葉が使われています。
また鼻が高い天狗は鼻高天狗、鼻先が尖っている天狗を烏天狗もしくは木の葉天狗とも呼ばれています。
どんな伝説があるのか?

天狗伝説の中で有名なものと言えば、京都の鞍馬天狗ではないでしょうか?
映画やドラマでも登場していますが、元々は源義経と深い関わりがあります。
父である源義朝が平氏に殺され、いつかは敵を取ろうと決意していましたが、幼少であったため、鞍馬寺に預けられることになりました。
ある日、山伏姿の男と出会い、彼が天狗であると正体を明かしました。
いずれは敵を取れるようにと剣術等を教わることになり、見事修行を果たし、後年義経の活躍で平氏を滅ぼすことができました。
剣術等を習ったのが、義経が11歳の時との言われもあります。
天狗伝説によって義経の生まれながらの宿命を語っているようでもあるでしょう。
次に東京にも天狗伝説があります。
関東山地の一部である高尾山であり、高尾山薬王院では天狗が祀られていることでも知られています。
いくつもの天狗伝説がありますが、代表的なものをお話しましょう。
工事に来た人たちが、高尾は田舎で馬鹿者が多く天狗なんかも怖くない、と適当に仕事を進めていました。
そんなある日、作業者の一人がなかなか帰ってきませんでした。
土地の人が探しに行くと、高尾山の木に縛られた作業者を見つけました。
助け出してやると、もう高尾を馬鹿にすることもなく、もちろん天狗に対しても同じようになりました。
東京は横長の地方自治体であり、山もあれば海もあり、平野も広がっています。
首都とはいえ、都市伝説ばかりが生まれる訳ではないのでしょう。
遠野物語にも登場している
すでに民俗学の古典として知られている柳田国男の「遠野物語」にも、天狗が登場しています。
全部で3つの話が取り上げられ、いずれも非常に興味深いものです。
たとえば天狗が住むという鶏頭山(けいとうざん)という山があり、村の人は誰も入山しようとしませんでした。
しかし一人の無法者が鶏頭山に入ると、大きな岩の上に大男が三人いました。
彼らは金銀を広げたりしていたそうですが、無法者に要件を尋ねると道に迷ったと答えました。
そうして道案内をされ麓近くまで来ると、男たちが目を閉じろと言いました。
するとたちまちのうちに男たちの姿が見えなくなったようです。
神隠しのような話でもありますが、天狗が人に見られたくないことの証にもなっているかもしれません。
以上のほか、鉄砲弾を避ける天狗、あるいは、相撲好きの男が天狗と格闘したが負けてしまった話があります。
神なのか?人なのか?はたまた動物か?
天狗の正体については、様々な説があります。
妖怪の一種であり、架空の生き物でしょうが、それでも正体を考えたくなるのが人情かもしれません。
たとえば自然現象説があります。
天狗は主に山で見られていますが、変わりやすい天候等があたかも生き物のように見えたのかもしれません。
中国では流星を意味する言葉であったことは、先述しています。
また外国人や未確認生物説等もあるようです。
いずれもなるほどと思える人もいるのかもしれません。
しかし天狗と言えば、先でも申し上げましたが、山で見かけることが多く、山が舞台となっている伝説が多々あります。
このことから伝統的とも言える解釈が山神ということでしょう。
ここでもお話した高尾山薬王院では天狗を祀っています。
一種の山神のような扱いと認識できます。
また日本神話の猿田彦(サルタヒコ)と同じであるとの説もあります。
鼻と背が高いという容姿が天狗と同じように考えられたようです。
しかも猿田彦は国津神(クニツカミ)の一人であり、天照大神(アマテラスオオミカミ)の使者である邇邇芸命(ニニギノミコト)を道案内した神でもあります。
山と関係が深いとも解釈できるでしょう。
いずれにせよ、天狗の正体には色々な説があります。
もしかすると、日本列島の先住民をイメージ化したものかもしれませんが、皆さんはどのように思われるでしょうか?
コメントを残す