【考察】千と千尋の神隠しに登場する神々と謎の聖域

ミスペディア

2001年に公開されたジブリ映画「千と千尋の神隠し」。

当時の日本歴代興行収入第1位を達成し、また海外での評価が高くベルリン国際映画祭で最優秀賞を受賞。スタジオジブリの世界的な地位を確固たるものにしました。

八百万の神様が疲れを癒しに来る湯屋を中心とした物語で、不思議な町に迷い込んだ主人公の成長を描いています。

特徴的な神様達が登場し、その独特なデザインも魅力の一つですが、その多くは必ずしもオリジナルではなく、モデルが存在することをご存じでしょうか。

今回はそんな千と千尋の神隠しをテーマに、主人公が迷い込んだ場所はいったい何なのか、そして考察を交えながら気になる神様達の背景について紹介したいと思います。

主人公が迷い込んだ場所は何なのか?

まずは、主人公たちが迷いこんだ世界が何なのかを考えていきましょう。

映画の冒頭、お父さんが運転する車で新居へ向かう途中、道を間違えて山道へ迷い込んでしまいます。アスファルトの道路が舗装されていない山道へ変わっていきます。

丁度その境目の場所で、古い鳥居が巨木に立てかけられているのを目撃します。

その足元には大量の祠が乱雑に寄せ集められています。鳥居は本来参道にまたがるように立っているはずで、それが人為的にどかされたことがわかります。

そしてその道に鳥居が立っていたということは、そこから先が聖域だということがわかります。

またお母さんが主人公に教えたように、祠は神様の家ですから本来このような扱いはありえません。

そしてその先には、バブルがはじけて潰れたテーマパークの残骸がありました。

これらを踏まえると、聖域だった場所にテーマパークが建設され、その工事の際に邪魔になった鳥居や祠が撤去されて森の入口の巨木の周りにまとめて放置されたと推測できます。

鳥居を取り除いたことで聖地との境界がわかりづらくなり、テーマパークには黒い影のような異形の者が住み着き、神々の住む世界が人間の世界と地続きになってしまった。

そういう場所に偶然千尋たち家族が迷い込んでしまったのかもしれません。

油屋にやってくる神々

作中では湯屋にやってくる様々な神様が描かれています。

その中でも印象的な神様とそのモデルとなった神様をいくつか紹介していこうと思います。

春日様

集団で列を作って行動する姿が印象的な神様です。

団体で船から上陸してくる姿がトラウマになったという声もあるようです。

モデルは奈良春日神社の祭神である春日神です。「蘇利古」という舞楽の演目に登場する舞人の姿をしています。

顔につけている面は雑面といって、「蘇利古」で使用されるお面です。

おしら様

真っ白な太った体に赤いふんどしを巻き、頭に赤いお椀を乗せているお茶目な姿で描かれています。

千尋を湯馬場のいる場所に案内してくれた親切な神様でもあります。

東北地方で信仰されている同名の神様が存在します。蚕や農業、馬の神様です。

おしら様には悲しい言い伝えがあります。

農家の娘がとある馬に恋をしてしまい、それに怒った父親が馬を殺してしまいます。

悲しんだ娘は自ら命を絶ってしまい、その娘の無念がおしら様になったといわれています。

一言主

湯屋の従業員たちのセリフにのみ登場し、姿は描かれていません。

「古事記」や「日本書紀」にも登場する宣託の神で、奈良県御所市の葛城一言主神社の主神です。

一言の願いであれば何でも聞き届ける神とされています。

他にも牛鬼の姿をした「おなま様」と呼ばれる神様や、秋田のなまはげのような姿をした神様も登場します。

ちなみにカオナシはオリジナルのデザインでありモデルは特に存在しないようです。

主人公を助ける龍神たち

様々な神様が集まる油屋ですが、中でも印象的だったのはオクサレ様ではないでしょうか。

ヘドロをまとった腐れ神の姿で現れますが、その正体は名のある河の神様でした。

能面の翁のような顔を持った、人面の龍の姿をしています。

少年の姿をしたハクの正体も「ニギハヤミコハクヌシ」という名のコハク川という河の龍神でした。

この2柱は、どちらもピンチの千尋を助けてくれた重要な神様です。

ではなぜどちらも龍神として描かれたのでしょうか。

まず日本では龍神はほとんどの場合、水神にあたります。稲作を行う日本人にとって非常に重要な恵みの神です。

龍の概念は中国から伝わったものですが、中国では権力の象徴とされる一方、日本では水や雨をもたらす恵みや自然崇拝の象徴とされます。

例えば比較的有名な龍の言い伝えとして、千葉県の印旛沼に伝わる伝承が存在します。

印旛沼に住む龍が村人から受けた恩を返すため、干ばつの年に無断で雨を降らせて龍王に殺されてしまったという内容です。

この他にも人助けをする龍の伝承は各地に残っています。

このような日本人の持つ龍のイメージを、主人公をサポートしてくれる存在として反映させたのかもしれません。

まとめ

千と千尋の神隠しに登場する神々について、考察を交えつつ紹介しました。

有名な作品であるだけに、ファンの間で様々な考察がなされている作品です。

気になる方は自分でさらに調べてみると面白いかもしれませんね。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

ロマンあふれる神話・伝承を電子書籍で

ゲームや漫画、映画などエンタメ好きにも読んで欲しい編集部厳選の神話・伝承をAmazon kindleで販売中

1件のコメント

島根県安来市には嘉羅久利神社という機械の古語であるカラクリをそのまま神社名にした、スサノオを祭った神社があるがそれと関係しているのでは?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

ABOUT US
ZEUS
はじめまして、ゼウスです。ミスペディアの管理人です。 「神話の面白さをもっと伝える」をモットーに、世界中の神話・伝説のストーリーをはじめ、神話を元ネタにしたエンタメの解説や神話のおもしろエピソードなど、ロマンあふれる情報を発信しています。