虹の橋の守り神:北欧神話のヘイムダルってどんな神?

死者を運ぶ途中でヘイムダルに出会うヴァルキュリヤたち(ローランス・フレーリク、1906年)
死者を運ぶ途中でヘイムダルに出会うヴァルキュリヤたち(ローランス・フレーリク、1906年)

神々が暮らすアースガルドと人間族の国ミズガルズを繋ぐ虹の橋。

創世の折、オーディンによって最果ての地ヨトゥンヘイムに追いやられた巨人族の侵入を防ぐために常に見張りを続ける神が、ヘイムダルです。

神々が住まう世界の門番である彼の魅力とは?!

たぐい稀なる能力で、橋を守る番人

写本「SÁM 66」に描かれたヘイムダル
写本「SÁM 66」に描かれたヘイムダル

神々が住まうアースガルドと人間が暮らすミズガルドは、虹の橋で繋がれています。

火と大気と水から出来た橋の名前はビフレストといい、火の赤、大気の緑、水の青の三色をしていたといわれています。

この橋ができた当時、人間界への行き来が便利になった一方で、巨人族の侵入も容易になってしまったので心配していた神々の元にヘイムダルが現れ、橋の番人を名乗りでました。

彼は常に光り輝く白い鎧を身につけていました。

鳥よりも睡眠が短く、暗闇でも100マイル(約160キロメートル)先まで見通せる視力、どんな音でも聞き分けられるすさまじい聴力を持っています。

たとえば、羊の背中に生える毛の音や丘に生い立つ草の音。

人間には到底聞くことはできない音もはっきり聞ける耳を持っています。

これらの能力をフルに使ってアースガルドの安全を保ち続けているのです。

しかし、その能力をもってしても、虹の橋の守りは辛かったようです。

同じく北欧神話に登場する悪神ロキの言葉をかりると、雨の雫は肌まで濡れ通し、時に雨露で背中まで濡らしながら橋を守っていたそう。

人間だとすぐに風邪を引いてしまいそうなくらい、大変な仕事ですね。

母親が九人!? 出生の秘密

ヘイムダルがフレイヤにブリーシンガメンの首飾りを返す場面(1846:ニルス・ブロメール)
ヘイムダルがフレイヤにブリーシンガメンの首飾りを返す場面(1846:ニルス・ブロメール)

ヘイムダルは、「波の乙女」と称される九人姉妹から生まれました。

母親が九人いるというエピソードは、なんとも神話らしいですね。

一説には「九」という数は、古代のほとんどすべての民衆の間によく知られた聖数であるともいわれています。

またある研究では、ヘイムダルは波間に輝く太陽の人格化した神であると解釈されています。

北欧の夏至は八月に始まり、九月にかけて太陽が一年で最も勢いを増します。

ゆえに聖なる数字であり、太陽が勢力をのばす九月にあやかって、母の数を九人にした説もあります。

ヘイムダルの実直な警護体制を伝える、こんなエピソードがあります。

ある晩、悪戯好きの神のロキが、女神フレイヤの黄金の首飾りを盗み出しました。

ヘイムダルはアースガルドに異変がないかを常に警護していたため、自身の聴力と視力でそれを見つけると、取り返すために彼を追跡します。

二人は道中で熊やアザラシに姿を変化しながら激しく戦い、ついに観念したロキから首飾りを取り返しました。

Loki finds Gullveig's Heart(John Bauer, 1911)
ロキ (Loki finds Gullveig’s Heart, John Bauer, 1911)

ヘイムダルとロキは北欧神話の中でも一緒に登場することが多く、好敵手だといわれています。

さらには終末戦争ラグナロクでも一戦する運命にあり、因縁の対決は幾度となく繰り広げられます。

ロキとその妻

ギャラルホルンの角笛とラグナロク

写本『AM 738 4to』に描かれたヴァルハラ。門にヘイムダルがいる。
写本『AM 738 4to』に描かれたヴァルハラ。門にヘイムダルがいる。

最終戦争ラグナログが起きる際、ヘイムダルは角笛ギャラルホルンを吹き鳴らして神々を集結させます。

オーディンから授かった角笛を強く吹き鳴らせば、ありとあらゆる世界まで響き渡るといわれます。

ある時は頭上にある世界樹の枝に吊るし、またある時は足下のミーミルの泉に浸しながら、有事の際はいつでもギャラルホルンを手に取れるように近くに置き、大事に扱っていたようです。

まとめ

ヘイムダルの名前は、「宇宙の中心」や「世界の柱」という意味を持ちます。

日頃から虹の橋の警護を怠らない彼は、来たるべき終末戦争へ向け、揺れ動く虹の橋の上を一日に何度も往来しています。

角笛ギャラルホルンや優れた能力も特徴的であるため、頻繁にゲーム作品などにも登場する神の一人といえるでしょう。

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