13日の金曜日はなぜ不吉で演技が悪いのか?元ネタを解説

最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

13日の金曜日と聞くと、多くの人はホッケーマスク姿でチェーンソーを持って襲ってくる世界的有名な殺人鬼を思い出すでしょう。

「13日の金曜日は良くないことが起きる」と思っている人も多いのではありませんか?

そもそも、13日の金曜日はなぜ不吉とされているのでしょうか?

13日の金曜日、日本と海外の違い

世界中で「13日の金曜日は不吉だ」と言われていますが、実は日本でこのように言われるようなったのは最近のことです。

日本でこの迷信が浸透したのは、1980年公開のスプラッターホラー映画『13日の金曜日』の影響が非常に大きいです。

公開後、金曜日に放送される人気の映画テレビ番組でこの映画は長年放映され続け、悪役のジェイソンは若者や子供たちの間で一躍人気者になりました。

日本ではこのような背景があり、「13日の金曜日は不吉だー!ジェイソンが出るぞー!」という、冗談の一種として浸透していきました。

しかし、ヨーロッパやアメリカでは深刻で怖い都市伝説として扱われています。

「13日の金曜日は良くないことが起きる」と思い込んで気持ちが滅入ってしまう人も多く、「13日の金曜日恐怖症」という物まで存在します。

アメリカだけで2000万人近い人がこの恐怖症に悩まされていると言われており、カウンセリングを受けないといけないほど重症化するケースもあります。

「この日は何か嫌な感じがするから買い物や外食はしないようにしよう」と考えてしまう人もいるため、アメリカ国内の経済的損失も13日の金曜日は大きなものになっているという噂もあります。

なぜ不吉とされているのか?

日本ではジェイソンの映画が大きく影響していますが、海外ではなぜこんなにも恐れられているのでしょうか?

忌み数説

「13」という数字が忌み数とされているからという理由があります。

忌み数とは、文字通り「不吉な数字」「あまり良くない数字」のことです。

日本だと「4」が「死」を連想させると言って嫌われる数字になっていますね。

マンションやアパートでも204号室などはありませんが、それと一緒です。

欧米諸国で「13」が忌み数となった由来はいくつか説があり、それ故に「13日の金曜日は不吉」と結びついて考えられているところがあります。

キリスト教起源説

最もポピュラーな説が、キリスト教を起源とする説です。

キリストが処刑される前夜、弟子たちを招き最後の晩餐を行います。

最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
最後の晩餐(レオナルド・ダ・ヴィンチ)

その時に、裏切り者のユダが13番目の席に着いたとされています。

そしてそのユダもキリストの13番目の弟子である…という13尽くしの話です。

また、キリストが十字架に磔刑にされた日が13日の金曜日だったという話もあります。

どちらもキリスト教にまつわる不吉な話ですが、実はこれらは俗説で近代になって広まったものと言われています。

レオナルド・ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』を元にして見てみると、イエス・キリストを除いて登場している人物はイスカリオテのユダも含めて12人です。

席順についても、ユダは左から数えて4番目、右から数えるとイエスを飛ばして9番目になりますので、13番目の席についたという話は信憑性が非常に薄くなります。

また、この最後の晩餐についてもキリストの磔刑についても、聖書には一切記述がありません。

イスカリオテのユダについては「12番目の弟子」と明確に書かれています。

これらは後の古文書などにも記載がなく、俗説や都市伝説の枠を出ないものとされています。

北欧神話起源説

北欧神話を起源とする説です。

12人の神々が宴会をしている時に、イタズラ好きの神ロキが招いていないのに乱入して、オーディンの息子の盲目の神ヘズを誑かし、光の神バルトルを殺害します。

バルドルの死
バルドルの死(Baldr’s Death by Eckersberg 1817年)

「13番目の招かれざる客」ということから、キリスト教が広まる以前より13は忌み数として扱われてきたというお話です。

他にも、キリスト教によって魔女とされて追いやられた北欧神話の女神フリッグが、11人の魔女を招いて金曜日に悪事を企んでいたという話があります。

魔女は12人グループで行動しており、13番目に悪魔が加わると言われていました。

このことから「金曜日は不吉」と言われるようになったという説もあります。

調和を乱す数字

12は完璧な数字とされてきました。

一年は12か月ですし、時計も12時まで、1ダースは12、キリストの弟子も12人、星座も十二宮、オリュンポスの神々も12人、ヘラクレスの弟子も12人です。

東洋だと干支が12ですね。

十二神将というのもいます。

このように、12という数字は調度良いおさまりの良い数字です。

その調和を乱すのが「13」です。

13はどの数字でも割り切ることができませんし、十二進法では仲間はずれです。

12+1というだけでなんとなく気持ち悪い感じがする…という不安を掻き立てる数字として、忌み嫌われてきたという説です。

テンプル騎士団壊滅の日

イギリスとの戦争で財政難に陥っていたフランス。

時の統治者フィリプ4世が当時お金をたくさん持っていて裕福だったテンプル騎士団から財産を奪うため、1307年10月13日にテンプル騎士団の一斉逮捕に踏み出します。

容疑は入団儀式の反キリスト教的行為(男色、悪魔崇拝など)。

異端審問にかけられ騎士たちは拷問を受けてことごとく処刑されました。

この逮捕により、テンプル騎士団は壊滅したと一般的には言われています。

この1307年10月13日が金曜日だったという風に言われており、「13日の金曜日」の由来に組み込まれています。

ちなみに余談ですが、ダンテの『神曲』において、ダンテが詩人に導かれて地獄の門をくぐり地獄めぐりをする日が「西暦(ユリウス暦)1300年の金曜日」です。

こじつけのように聞こえるかもしれませんが、「13」「金曜日」「地獄」…なんとなく不安になってきますね。

13日の金曜日に起きた出来事は?

では、実際に13日の金曜日は悪いことが起きる日なのでしょうか?

世界中で調査がされましたが、これと言って際立ったデータが取れた試しはありません。

しかし、13日の金曜日に起きた出来事を見てみると、少し不吉な感じがしてきます。

1964年3月13日 キティ・ジェノベーゼ事件

1964年3月13日に、クイーンズで起きた殺人事件です。

目撃者が38名もいたにも関わらず、誰も警察に通報しませんでした。

被害者のキティは即死ではなく、しばらく生きていたので誰かが通報すれば生きていた可能性があります。

自分以外にも目撃者がいるから誰かがなんとかしてくれるだろう、変な事件に巻き込まれたくないという「傍観者心理」が露骨に表れた事件です。

1972年10月13日 ウルグアイ空軍機571便遭難事故

10月12日、カラスコ空港を出発した571便が13日にアンデス山脈に墜落。

乗員乗客45名中29名が死亡、生存者16名という大事故となりました。

生存した16名はどうやって生き残ったかと言うと、ほかの乗客の死体の肉を食べて生き残ったのだとか…

この生存者の証言は世界中に大きな衝撃を与えました。

2015年11月13日 フランスパリ同時多発テロ

2015年11月13日、フランスのパリで起きた同時多発テロです。

パリのサッカースタジアム、飲食店、ロックバンドのライブ中の劇場でISILの戦闘員とみられる複数のグループによる爆破や銃撃などのテロ行為が同時に発生。

死者130名、負傷者300名以上の大規模なテロ事件となりました。

まとめ

13日の金曜日にまつわる話をしてきましたが、いかがでしたか?

日本ではそこまで気にする人はいませんが、世界的に見ると「13日の金曜日恐怖症」はかなり深刻で、ただの都市伝説では済まされないところもあるようです。

このような不吉とされているものは「気の持ちよう」で何とかなるものと言われていますが、果たしてそうでしょうか?

先述した13日の金曜日に起きた出来事を見てみると、凄惨で記憶に残る事件事故が多いように思えます。

もしかしたら、13日の金曜日は今後も恐ろしい何か起きるかもしれません。

ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ How They Met Themselves
アルジェリアの14歳のお手伝いの少女が経験したポルターガイスト (La Vie Mysterieuse, 1911)

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