昔も今も、美少年は多くの人を魅了する存在ですよね。
ギリシャ神話の世界にも美少年が登場することを、みなさんご存知でしょうか?
今回は、神話の物語に描かれた3人の美しい少年たちについてご紹介したいと思います。
あの有名な言葉のルーツにもなったナルキッソス

自己愛の強い人のことを表す「ナルシスト」という単語、きっと耳にしたことがあるかと思います。
実はこの言葉は神話に登場する、とある美少年に由来しているのです。
ある日おしゃべりなニンフであるエコーは、ヘーラーの怒りを買ってしまい、罰として口がきけなくなってしまいました。
自分の気持ちを言葉にすることが、彼女にはできなくなってしまったのです。
そしてエコーはナルキッソスという美しい少年に恋をしました。
狩りをしていたナルキッソスは仲間からはぐれてしまったため、大声で呼びかけます。
ですが、エコーにできるのはナルキッソスの言葉をオウム返しにするだけでした。
それでもエコーは姿を現し、ナルキッソスに抱きつこうとします。ところがナルキッソスはエコーを拒絶します。
思いが届かなかったことで深い悲しみに打ちひしがれ、エコーは声だけの姿となってしまいました。
そして、すべての人に返事をすることにしたのです。
山などで叫んだときに自分の声が返ってくるのはエコーの存在があるからと言われています。
その後、復讐の女神ネメシスの仕業によって、ナルキッソスは叶わぬ恋をすることになります。
その恋の相手とは湖に映る自分自身。自分だとは思わず、ナルキッソスが口づけをしようと湖面に顔を近づけますが、決してこの恋がかなうことはありませんでした。
やがて、ナルキッソスはひっそりとその命を終わらせます。湖のほとりには、水仙が咲いていました。
神々を魅了し、星座となったガニュメデス

水瓶座のイラストには、壺を抱えた美少女が描かれることが多いですよね。
ですが実際のモデルは少女ではなく少年だったのです。彼の名前はガニュメデスといって、大変美しい顔立ちをしていました。
そしてその美貌が彼自身の運命を変えてしまうことになります。
ゼウスとへーラーの間に生まれた女神ヘーベーがそれまで神々に酒を注いできたのですが、彼女が結婚してしまい、酒を汲む係りがいなくなってしまいました。
そこでゼウスが地上で見初めたのが、ガニュメデスでした。
なんとゼウスは彼を誘拐し、酒や水を汲むように命じたのです。
ガニュメデウスが星座となったのは、息子を失い悲しみにくれる両親が、いつでも空を見上げれば彼の姿を見られるようにしたためです。
2人の女神に愛された美少年アドニス

キプロスの女王ミュラとその父親の間に不義の子として誕生したアドニスは、あまりにも美しく、美の女神アフロディーテをも魅了した存在です。
アフロディーテはアドニスを独り占めしたいと願い、箱に閉じ込めてしまいました。
そしてアドニスの世話を任された冥界の女神ペルセポネーも、アドニスに心を奪われてしまいます。
アドニスをめぐる女神2人の争いはなかなか決着がつかず、とうとうゼウスが乗り出してくるほど、収拾がつかなかったのです。
争奪戦の末、アドニスは1年間のうちの4ヶ月を地上でアフロディーテと、もう4ヶ月を冥界でペルセポネーと過ごし、残りの4ヶ月は自身の好きなように過ごして良いということになりました。
狩猟を好んだアドニスは、猪に殺されたことでその生涯を終えることとなりましたが、その血からはアネモネの花が咲き、彼の死を悲しんだアフロディーテの涙は薔薇となりました。
まとめ
こうした美少年たちの姿を想像してみると、どんな美貌の持ち主だったのか、そしてどのような運命をたどったのか興味が湧いてきますね。
彼らの存在は、神話の物語を楽しむきっかけになるかと思います。
神話の世界に想いを馳せる時は、美少年の存在にも注目してみてはいかがでしょうか。
コメントを残す