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ギリシア神話の守護女神アテナの誕生から所持品まで、その魅力に迫る!「純潔の処女神をリーダーにあおぐ勇者たちのチーム」シチュエーションに燃える皆様、あつまれー!

『アテーナーの誕生』
『アテーナーの誕生』 (ルネ=アントワーヌ・ウアス作、1688年より前、ヴェルサイユ宮殿所蔵)

多くのマンガやゲームなどのエンタメ作品に登場する、ギリシア神話の女神アテナ。

最近の例としては、人気ゲーム、パズドラにも登場していますね。

日本でも世代を超えて愛されている女神と言ってよいと思います。

ですがこれだけ様々なメディアに登場すると、「モトネタのギリシア神話の世界では、そもそもどういう神様だったっけ?」というところが、ボヤけてしまうもの。

というわけで今回は、女神アテナのオリジナルの設定を、その「装備品」まで含めて徹底解説します!

結論を先に言ってしまうと、女神アテナは、「モトネタの段階でじゅうぶんキャラ立ちしている!」魅力満載なお方です。

特に「純潔で処女を守る女リーダーを取り巻く勇者たちのチーム」というシチュエーションが好きな方(本記事のライターもそうですが・・・)には、

「そうそう!毅然とした女性リーダーというのはこんな感じがいいと思ってた!」

と、喝采ものの記事になると思います!ご期待を!

女神アテナの概要:戦争をつかさどる神といっても、「暴力の神」ではなく「正義の神」!

『アレースとアテーナーの戦争』
『アレースとアテーナーの戦争』 (ジャック=ルイ・ダヴィッド作、1771年、リヨン美術館所蔵)

まず強調しておきたいのは、「アテナは悪い意味での戦争の女神ではない」ということ。

「悪い意味での戦争の神」というのは、ギリシア神話の中で別キャラがおります。戦神アレスです。

アレスは、人間の暴力性と残虐性をになう神で、虐殺や破壊のための戦争を起こすとされています。

いっぽうでアテナは、戦争における「正義」「勇気」「戦士としての誇り」をになう神様。

おっと、「戦争に正義なんてあるのだろうか?」という現代人な発想は、ここではおいておきましょう!

だいいち、古代ギリシアの戦争というのは、現代のような核兵器や戦車や毒ガスが飛び交う戦争とはずいぶんイメージが違います。

おそらく古代人の中でも、戦争というのは「残酷な面もあるが、ヒロイックな面もある」と、両面でとらえられていたのではないでしょうか?

ちなみにアレスとアテナ、この二人は仲が悪いそうです。そうこなくちゃ!

また、アテナは戦争だけでなく、建築や工芸、知恵の神でもある、とされています。

「新しい技術は戦争から生まれる」という、人間文明のパターンをかえりみれば、わかりやすいですね。

現代風に言えば「イノベーションの神様」といったほうが、しっくりくるかもしれません。

考えてみればインターネットも、発明したのはアメリカ軍でしたからね。

ということは、アテナはインターネットも守ってくれている?

そしてネットを脅かすウィルスやサイバーテロが、アレスの領域か!?

ちなみにアテナはローマ神話ではミネルヴァと呼ばれ、こちらは「医術の神でもある」とされています。

「きっと戦争の女神から、軍医=衛生兵=医療という連想で、医術の神になったのだ」と思いきや、どうやらこれは、もともとイタリア半島で信仰されていた別の女神とごっちゃになった影響らしい。

アテナというと「戦い」、ミネルヴァというと「知恵」という印象になっているのは、この混乱が影響しているのかもしれません。

ですが、ざっくりといえば、「同じ神様」とみて問題ありません。

凛々しい美しさで知られる女神。ただしチーム・アテナは「恋愛禁止」のご様子!

そしてアテナといえば、「灰色の目を持つ凛々しい美神」ということで知られています。

古今東西、数々の有名画家が、「オレの考えるアテナ像」を画布に描きこんできました。

個人的な好みとしては、レンブラントの『パラス・アテナ』がめちゃくちゃ恰好いい。

『Pallas Athena(パラス・アテナ)』(レンブラント・ファン・レイン)
『Pallas Athena(パラス・アテナ)』(レンブラント・ファン・レイン)

鎧や兜にあたっている光の反射具合もモダンな感じで、このまま現代のゲームや漫画のパッケージにしちゃってもいいかもしれない。

中身がそうとうがんばらないとパッケージ負けするか・・・。

ところで「パラス・アテナ」というのはアテナの別名です。

前についている「パラス」というのは、彼女がかつて退治し、その皮をはいで自分の鎧を作るのに使ったという「巨人パラス」の名前とされています。

しかし、別の出典ではアテナの友人の名前だともなっており、まぁ、例によって諸説入り乱れ、よくわかりません。

いずれにせよ、レンブラントやらクリムトやらの西欧美術の大家は、作品に「パラス・アテナ」とつけることがあるので、この別名も覚えておいて損はないかと。

ちなみに、世代によっては「パラスアテネ」というガンダムのモビルスーツを思い出しちゃうので、この語感は違和感なく覚えられるかもしれませんね。

ところで「美人」「美人」とほめそやしていますが、アテナは純潔を貫いた処女神とされています。

このアテナに変な下心で近寄った人は、たいてい悲惨な結果を招いているので、ご注意を!

もっとも別に「男ぎらい」なわけではなく、ペルセウスやオデッセウスのような勇敢な男にはいろいろと肩入れしてくれるあたり、「強い男との対等な友情」関係の逸話は多い。

この女神から戦友として認められる男性というのは、相当なレベルでないと無理なようですけれども。

ちなみに、アテナ自身が純潔というだけでなく、お伴のニンフたちにも「恋愛禁止」を課していたとか。

この人が監督しているチームで色恋沙汰などを起こしたら大変なお怒りを受けると思われます。

「チーム・アテナに加わりたい」と夢見る方、ここには、くれぐれも、ご注意を!

最初からフル装備で生まれてきたアテナ!その装備を解説しましょう!

『アテーナーの誕生』
『アテーナーの誕生』 (ルネ=アントワーヌ・ウアス作、1688年より前、ヴェルサイユ宮殿所蔵)

さてこの女神アテナ、出自からして、ちょっと別格扱いです。

有名な話なので、テキパキとおさらいすると、

  • ゼウスの最初のつれあい(つまりヘラとの結婚前の奥様)はメティスといった
  • しかし予言によるとメティスから生まれた次の子はゼウスの王位を奪う、となっていた
  • そこでゼウスは妊娠していたメティスを食べてしまった
  • それからしばらくして、ゼウスは「頭が痛い」と言い出した
  • 神々が心配して、集まってきた
  • 集まってきた神々に「頭痛薬を持ってきてくれ」とでも言うのかと思いきや、「この痛む頭をカチわってくれ」と頼んだゼウス
  • 「そういうことなら、オレがやってやる」とヘパイストスが斧をもってきた
  • ヘパイストスがゼウスの頭を割ると、ぶき・よろい・たてを揃えたフル装備のアテナが、最初から大人の美女として登場した

という次第。

ギリシア神話特有の、それぞれの神の年齢差どころか、体の比率すらも無視した展開。

ですがアテナ誕生の描写からしてなんだか別格であり、ゼウスを含めた神々からも、どこか「一目おかれた」存在であったことが、よくわかります。

そんなアテナのフル装備について、簡単に解説しましょう。

  • 武器としては槍を好む様子(「その槍の名前は何だろう?!」と思うのが人情ですが、どうもこれは名前のない、ただの「はがねのやり」の類らしい、、、)
  • 常時、兜をつけている。絵画に描かれるときも、兜からのぞく凛々しい目、がお決まりのパターン。
  • 翼のはえたサンダルをはいている。ただしこのサンダルは、「この町に永遠に守り神として居てほしい」と願ったアテナイの人たちによって隠されちゃった、という説もある。
  • 鎧は、アイギスという名前の、巨人の皮をなめして作った女性用のアーマー。ただし、後述するように、「アイギスというのは盾の名前だ」という説もあって、今日ではこちらのほうがメジャーな解釈。
  • アイギスの盾という有名な盾を持っている。これが彼女の装備でいちばん有名と思われる。ペルセウスから贈られたメドゥサの首を飾った、円形の盾。アイギスは「イージス」とも呼ばれ、現代軍艦の「イージス艦」の語源になっている。

なお、有名なアイギスの盾を制作したのは、ゼウスの頭を割ってアテナ誕生のきっかけとなったヘパイストス。

この人、兄妹でありながらアテネにぞっこんだったらしく、細かく調べると犯罪寸前のストーカーまがいのことをしています。

われらの理想の女性リーダー様になんてことを!

アテナを味方につけたらどんなことになるか。ペルセウスさんの場合

『Perseus with the Head of Medusa(ペルセウスとメデューサの頭部)』
『Perseus with the Head of Medusa(ペルセウスとメデューサの頭部)』(Antonio Canova (アントニオ・カノーヴァ作)、原典

アテナとペルセウスの関係は、ちょっと変わっています。

さきほど出てきた、アイギスの盾に関わる話なので、ここで触れておきましょう!

簡潔に言うと、アテナが盾をあげたら、ペルセウスがそれをグレードアップして返してくれた、という関係。

ゲームの世界では「神様から強力アイテムをもらったら基本的に貰いっぱなしでいい」というのが常識ですが、ペルセウスはアイテムをレベルアップして返してくれたわけです。

経緯を追うと、以下の通り。

  • 悪い王様(義理の父親)に、メドゥサを倒してこい、と無理難題をいいつけられたペルセウス。
  • 普通は「そんなの無理だ!」となるところを、ペルセウスは「おもしろそう、やってやろうじゃん!」とむしろ意気込んだ。
  • それを見た通りがかり(?)のアテナが、「あなたは勇敢な人ですね。わたしの盾、貸してあげようか?気持ち悪い兄貴に作ってもらったモンだけど使い心地は悪くないはずよ」と、黄金の盾を渡してくれた。
  • 「メドゥサを見た者は石になる」と言われていたので、ペルセウスはこの盾にメドゥサの影を写して、石にならずにメドゥサの首をはねて退治した(=この盾がなかったら勝てなかった)。
  • その首を持って行ったおかげで、アンドロメダを食べようとしていた海の怪物を、石化攻撃で秒殺できた。
  • いいことばかりをもたらしてくれたアテナの盾。ペルセウスはそこにメドゥサの首を飾ってアテナに返した。
  • こうして最強の盾となって返ってきたのが、アテナ愛用の盾、アイギスの盾である。
  • ちなみにペルセウスの本意は「こんな危ない首を人間のオレが持っていてもロクなことにならないから、口実をつけてアテナにあげちゃおう」だったかどうかは、神話では語られていない為、不明である。

いずれにせよ、無理ゲーから逃げない勇敢な男のところにアテナは現れて、いろいろと助けてくれることは間違いないですね。

アテナを敵に回したらどんなことになるか。パリスさんの場合

『パリスの審判』
『パリスの審判』 ルーベンス画 (1636年、国立美術館所蔵)

これは「敵に回したか」どうかとなると、ちょっと微妙な話なのですが、少なくとも、アテナをかなりイラッとさせた事件であることは確か。

トロイア戦争の発端となったパリスの審判ですね。

ざっと経過をおさらいすると、以下の通りです。

  • 神々が集まっている結婚式で(まぁいろいろとあって)、『この中でいちばん美しい人が受け取るべき』という、危険きわまりないメッセージが書かれたリンゴの奪い合いが起こった。
  • ヘラとアフロディーテとアテナが最後まで譲らなかった
  • ゼウスが、「わしにも決められんから、もっと若い人間の男に見定めてもらえばどうだ? トロイアの王子パリスという若者がいるが、あいつなんかどうだ?」という、かなりいい加減なことを言った。
  • それで、ただの若者であるパリスが、三人の女神の中で誰がいちばん美しいかを選ぶことになった。迷惑だ。

もっとオトナな男性なら、「こういうときは結論を出さず、のらりくらり時間を稼いで、ほとぼりがさめるまで待たなくちゃ」などと思うべきところです。

しかし、パリスはよほど素朴な若者だったようで、

「え? でも、アフロディーテは美の女神なんだから、アフロディーテでいいんじゃね?

と、誰でも思うが口にしちゃいけないことをストレートに言ってしまったから、大変なことになりました。

何せ選外となった残る二人、

「美人だけどオバサンだしね」と思った相手は、あとから聞いたらゼウスの奥さんですし、

「美人だけどフル武装でおっかないお姉さんだからちょっとね」と思った相手は、あとから聞いたらギリシアの都市国家アテネの守護神だったわけですから。

「ま、いいわ。わたしたちは大人だから、こんなことで怒ったりしないもの」という感じで、その場は引き下がったヘラとアテナ。

ですがその後、さまざまな手で、パリスとその後ろ盾であるトロイアの邪魔をするようになります。怒ってた。

それで意固地になったアフロディーテがトロイアの側に肩入れするようになったので、結局、ギリシア都市国家同盟とトロイアの大戦争にまで発展してしまったという次第です。

トロイ戦争/トロイの木馬の様子、デルポイ考古学博物館
『トロイ戦争/トロイの木馬の様子』(デルポイ考古学博物館 原典

 

トロイ戦争の場面を描いた石
トロイ戦争の場面を描いた石(RISD美術館 原典

それにしても、アテナは色恋沙汰に興味なし、とあれだけ強調している方なのに、こういう美人コンテンスト的な話になると、意外なほどグイグイ前のめりに出ていくんですね。

リーダーとして最適かと思いきや、意外と面倒くさい事件も起こす方なのかも・・・おおっと、なんでもないです!!

まとめ

ギリシア神話の神々は、いろいろと奥深いキャラばかりですが、アテナも相当に奥深い。

それどころか、彼女にまつわるエピソードや伝承はとりわけ多種多彩にあり、目が回るほどです。

このエピソードの豊富さは、ギリシア神話の神々の中でも特に彼女の人気が高いという証拠ではないでしょうか?

ここに紹介できたのも、あくまで諸説の中の一部。

興味を持った方は、ぜひ、もっともっと調べてみてください!

それにしても、凛々しく純潔を守りながら、武器と鎧をまとい、戦場の英雄たちを導いてくれるアテナのキャラクターは、じゅうぶんに現代性がありますね。

理想の女性像ならぬ「理想の女性リーダー像」としてアテナのことを見るのも、面白いかもしれません。

ただし扱いを間違えると意外に面倒くさそうな、、、おおっと、なんでもありません!

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