本サイトでは特に著名な円卓の騎士を取り上げて紹介しているが、ここで紹介したものがすべてではない。
何しろ、説話によっては円卓は1000人以上も座ることができたというモンスターテーブルになっているのだ。
その場合すべての騎士についてエピソードを作っていくと、水滸伝以上の分厚い大河ドラマができあがってしまう(マロリーの「アーサー王の死」でもすでに十分大作ドラマになってしまっているが)。
とりあえず最初に「全部は無理」だということをしっかりと断っておこう。
円卓の騎士の中には、「王」の称号を持っているものがいる。
著名なのはベンウィックのバン王とボース王だ。
ベンウィックというのは、フランスのどこかにあるとされた国である。
バン王とボース王は兄弟で、即位直後のアーサーを助けて、ブリテン統一を果たすためにやってきて戦う。
アーサーは援軍を得て勇気百倍となった。
しかしこの2人、肝心な戦争の方はあまり上手ではなかったようだ。
戦場における個人的な武勇においては優れている(これはアーサーも同じ)のだが、どうも戦略的な計算が苦手だったようだ。
そうこうしているうちに、留守にした本国の城をぶんどられるという騒ぎになり、バン王とボース王は帰国する。
しかし時すでに遅しで、バン王は国を奪われ、妻と放浪するうちに長男ガラハッドを湖の貴婦人ヴィヴィアンに奪われてしまう。
ヴィヴィアンはガラハッドに改めて「ランスロット」という名をつけ、大切に育てあげる。
これが、後にアーサーの円卓の騎士のナンバー1と讃えられ、グィネヴィアとの世紀の大不倫ドラマを繰り広げる湖の騎士ランスロットその人である。
ちなみに、ボース王の子には、父と同じ名のボースと、ライオネルの兄弟が生まれた。
この兄弟もヴィヴィアンに育てられるのだが、湖のヴィヴィアンの館にやってきた時は、なぜか2人とも犬の姿に変えられていたそうだ。
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