- 種別:聖杯王の息子
- 親族関係:パーシヴァルの子
アーサー王伝説にはまったく登場しないが、重要な騎士であるパーシヴァルの息子とされる人物。
オリジナルの伝説における聖杯王の息子「ローエングリン」

聖杯王としてのパーシヴァル(パルジファル)の息子。
聖杯伝説は元々アーサー王の説話とは別系統の話であり、主役はパーシヴァルであった。
その聖杯王パーシヴァルは後に円卓の騎士の一員となり、ガラハッド同様純潔(童貞)のまま世を去ったことになっていたが、オリジナルの伝説においては1人の後継者をもうけている。
これがローエングリンである。
もちろん、純潔のまま死んだことにされたマロリーの話を筆頭とするアーサー王伝説には、ローエングリンは登場しない。
ローエングリンは正体を隠したまま、弟殺しの容疑をかけられたエルザの元に出現する。
ローエングリンはエルザを自分の妻にすることを条件に、彼女の潔白を証明するために戦い、勝利する。
エルザを妻としたローエングリンは、彼女に自分の正体を問いつめないようにと求めるが、エルザは最終的に約束を破ってしまう。
ローエングリンはこの時点で自分の正体を明かし、エルザの元を去る。
説話の根本はアーサー王伝説やケルト伝説などではなく、ギリシア・ローマ神話の「アモールとプシュケー」に近い。
ワーグナーの作品としても初期のものにあたるだけに、あまりゲルマン伝統文化への傾斜もなかったようである。
ただし、この後にワーグナーは、聖杯王伝説に題材を取った「パルジファル」(つまり、ローエングリンの父が主役)を作っており、「ニーベルングの指輪」に至るゲルマンファンタジー的作品世界のきっかけを作ったことにはなりそうだ。
コメントを残す