Contents
- 1 朝霧の巫女
- 2 妖しのセレス
- 3 アリオン
- 4 アリーズ
- 5 イシス
- 6 イヴの眠り
- 7 うしおととら
- 8 王家の紋章
- 9 風の谷のナウシカ
- 10 神風怪盗ジャンヌ
- 11 かみちゃまかりん
- 12 孔雀王
- 13 黒執事
- 14 クリスタルドラゴン
- 15 ゴッドサイダー
- 16 コレットは死ぬことにした
- 17 金色のマビノギオン―アーサー王の妹姫―
- 18 最遊記シリーズ
- 19 西遊妖猿伝
- 20 3×3EYES
- 21 進撃の巨人
- 22 終末のワルキューレ
- 23 スプリガン
- 24 聖☆おにいさん
- 25 聖伝-RG VEDA-
- 26 聖闘士星矢
- 27 NARUTO
- 28 ノラガミ
- 29 ハーピー
- 30 日出処の天子
- 31 火の鳥
- 32 卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-
- 33 伊藤潤二傑作集 10 フランケンシュタイン
- 34 ベルセルク
- 35 辺獄のシュヴェスタ
- 36 鬼灯の冷徹
- 37 封神演義
- 38 魔探偵ロキ
- 39 真夜中のオカルト公務員
- 40 ミイラの飼い方
- 41 夢幻伝説タカマガハラ
- 42 八雲立つ
- 43 よいこの太陽信仰
- 44 ラグナロック・ガイ
朝霧の巫女
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話、古事記、日本書紀

妖しのセレス
- コミック(少女漫画)
- 関連する神話/伝承:天女伝説

主人公の妖は双子の妹として育ちますが、16歳の誕生日に自分が天女の血を引く者だと知ります。
そこから、体にはセレスと言う名の天女が乗り移り、力を持つようになります。
全国の天女伝説のある地を訪れるので、天女が全国にいたというロマンを感じます。
アリオン
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

ギリシャ神話に登場してくる人物たち、ストーリーの中ではティターン神族とされているが、彼らの血なまぐさい権力闘争や貞操観念のなさ、残酷さ、我欲の強さに抱いていたイメージが180度回転しました。
あらためて、この神話の真実を調べてしまったほど、ギリシャ神話に関心を持つようになりました。

小学生の時に始めて見た時は、人間関係などわからず、「なんて暗い話なんだ!」「ギリシア神話の話なのにアポロンが主人公じゃない!」と思った記憶があります。
その後ギリシア神話にはまり、中学生になって読んだ本が、12星座の由来だけではなく、ゼウスの親殺しや、母親との関係などに触れられていて、再びアリオンを思い出しました。
それまでゼウス以降の神々の活躍する部分しか知らなかったのですが、土俗的で、隠喩的な創世神話からくるギリシア神話の世界を感じさせられた作品です。
そこから色々な神話にも興味がわき、本を読みましたが、どこの世界にも共通する創世の親子の関係に、驚いたことも覚えています。
世界の様々な神話の深みを知るきっかけになった作品です。

「アリオン」の主人公、アリオンは、ギリシア神話上では有名ではありませんが、作品上のアリオンの父、プロメテウスがとても魅力的に描かれています。
プロメテウスはギリシア神話において人類に火を与えた英雄で、「プロメテウスの火」を知ったのはこの「アリオン」がきっかけでした。
作品上のプロメテウスは、神々・ティターン族であるにもかかわらず、人類を支配するゼウスに反旗を翻した神として描かれています。
ギリシア神話が好きな方には是非、観ていただきたい作品です。
アリーズ
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

主人公の女子高生・亜理沙(ありさ)は占い師の母を持つ、明るく活発な女子高生。本人も占星術に非常に詳しい。
クラスメイトの男子・天野(あまの)とは犬猿の仲ながら、なぜか気になる存在。
じつは亜理沙と天野とは、ギリシャ神話の神々「ベルセフォネー」と「ハデス」の生まれ変わり。
神代では想い合いながら結ばれなかった悲劇のカップルだったのだ。
それが現代の高校生同士として転生。
しかし周囲には、2人の愛を阻むギリシャ神話の面々が多く転生していた……。
神代の記憶のない亜理沙は、天野に心惹かれるうちに自分がかつて「ベルセフォネー」であったことを思い出し始める。
2人の愛は現世で成就するのか。
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一般的にハデスは「冥界の王」と呼ばれ暗黒神として言い伝えられていますが、じつはもともとは邪悪な神などではなく、ゼウスやポセイドンと並ぶ聖なる神であった、とのこと。
冥界を仕切る王だからこそ恐れられているだけで、本当は悪者ではなかったことをこのコミックで知りました。
イシス
- コミック(山岸凉子 著)
- 関連する神話/伝承:エジプト神話

エジプト神話の中でも存在感のあるイシスが題材になっています。
伝承では、強大な魔力を持っていて息子ホルスの為なら何でもする母性的だけどちょっと怖い・・・と思わせる神様です。
しかし本作品に登場するイシスは、物静かで献身的だがその外見や魔力のせいで夫も含む周囲から疎まれています。
魔力を使って小さな生物から果ては夫を蘇らせるなど神話通りの事がありますが、そこに至るまでの経緯が切なくて読んでて胸が痛くなるお話でした。
そして何より、絵が耽美で素敵なのです!!
山岸さんは神話や伝承についての作品が多いので、神話や伝承が好きな方にはお勧めです!
イヴの眠り
- コミック
- 関連する神話/伝承:沖縄のキジムナー伝説

吉田秋生の漫画「YASHA-夜叉-」の続編。
超人的な知能と身体を持つ人工生命体の主人公が、双子の冷酷な兄弟との死闘の末、異質なものを温かく受け入れる沖縄の地に救われるお話です。
この超人的主人公の血を受け継いだ娘が、この続編漫画の中で沖縄の妖精(?)キジムナーに出会います。
キジムナーは小さな子供の姿をしており、カジュマルに住んでいて、澄んだ心の持ち主にしかその姿を見ることができません。
このキジムナーのおかげで危機を脱した主人公は、沖縄の神秘性や風土を深く愛し、普通の人間ではない自分を受け入れてくれるこの地で強く生きていくことにします。
キジムナーについてよく知らなかったのですが、この漫画によりどんな生き物なのか詳しく知ることができました。
うしおととら
- コミック(少年漫画)
- 関連する神話/伝承:妖怪

日本の津々浦々の妖怪たちが登場する。
主人公は対妖怪に特化した武器「獣の槍」を振るい彼らと敵対するが、手を取り合ってゆくこともできるという一元的ではない妖怪の性質を描いている点が好ましい。
「獣の槍」は古代中国の神剣伝説を元にして創作されており、干将・莫邪伝説との類似性が指摘される。
また、岩手の遠野や北海道(アイヌ)のカムイコタンなど、実在し、かつ妖怪で著名な地が多く登場する。

妖怪にまつわるエピソードや、神居古潭の地域の神々、またはしっぺい太郎などの伝承による話がとても面白く興味深く読むことができます。
男性女性関係なく楽しめる内容なので是非多くの人に触れてほしいです
王家の紋章
- コミック
- 関連する神話/伝承:エジプト神話

王家の紋章は、現代の令嬢キャロルが、3000年前のエジプトへタイムスリップし、古代の王(ファラオ)メンフィスとの恋や陰謀渦巻く古代での冒険譚を描いた少女漫画です。
キャロルはその金髪(エジプトでもっとも貴重なものは金〕とナイル川からあらわれたことから、ナイルの女神ハピの娘として崇拝を受けます。
古代エジプトでは、王は現人神とされ、地上におけるラー神の子とみなされていました(ラーは太陽の神、エジプトの主宰神)。
神の子である王と、神の娘であるキャロルが結ばれるのは、エジプト人の当時の考えとしては運命よりも必然の事態であったと考えられます。
風の谷のナウシカ
- コミック
- 関連する神話/伝承:旧約聖書

風の谷のナウシカは、一見すると世界崩壊後のたそがれの時代を生きる人々の物語であるように思われますが、注意して読んでみると、そこには深い世界設定とよく練られたストーリーが展開されている事が分かります。
例えば、この物語が始まる前に、火の七日間という戦争が起こり、世界が崩壊した出来事が語られています。
その時代では、人々は高度な文明を発達させており、巨神兵などの神が世界に存在していたようです。
この火の七日間というのは、旧約聖書の天地創造の七日間と対になっているように考える事もできます。
旧約聖書の創世記においては、神は6日間で世界を作られ、7日目に休息した、という出来事が語られています。
現在の私たちの生活が7日間周期なのも、これに由来しています。
この七日間は、言わば創世の七日間であり、全ての始まりの七日間という事ができるでしょう。
それに対して風の谷のナウシカで語られる火の七日間は、世界が崩壊するまでの七日間であり、これは言わば、終末の七日間であり、全ての終わりの七日間という事ができるでしょう。
このような点において、旧約聖書の創世記と風の谷のナウシカは、始まりと終わりの七日間という点で、対立構造をとっている事になり、直接的ではないにしろ、旧約聖書という神話の一部を題材にしている事が分かります。
しかし風の谷のナウシカにおいては、世界の終わりがそのまま人類の滅亡を示しているわけではありません。
世界が破滅するようなすさまじい戦争が起こっても、人々は生き残り、必死に生活を続けています。
むしろ、ナウシカの物語には、世界の破滅するような事態が起こっても、そこには我々が生き残る何らかの救いがあるという事が予言されているようであり、どのような破滅が起こっても、我々が生き残る何らかの希望はある、と受け取る事もできます。
事実、物語の最後でナウシカは、新しい世界を作り出すための技術を放棄します。
その新しい世界には、光だけが存在している夢のような世界です。
しかしナウシカは、世界崩壊後の世界、現在彼女らが住んでいる光と闇が混在する世界こそが世界の真実であり、楽しい事があれば苦しい事もあり、泣く事があれば笑う事もある、という崩壊後の世界、つまり今ナウシカ達が生きている世界にこそ、生きるに値する何らかの希望を見出します。
そこにナウシカの生きる事への決意を感じ取る事ができ、そのような精神にこそ、生きていく事に対する希望は宿るのではないか、と思います。
この他にも、作中に登場するシュワの肉壁には、少しずつ古代文字が記述されていき、それが新しい技術の発展を生み出す元となっているのですが、これはアカシックレコードの概念を発展させたような存在であると考える事ができます。
アカシックレコードは、元始からの事象、考え方などが全て記録されているという概念であり、神智学に基づいた考え方です。
この考えは、グノーシス主義やインドの神秘思想などともつながりを持っており、ここにも、この物語と神話や伝承・哲学とのつながりを見出す事ができるでしょう。
またこの物語設定は、ヨーロッパやアジアに広がるユーラシア大陸を起源としており、巨神兵の歯に古代語として日本語が描かれている事から、我々の住んでいる現代社会が荒廃した後の物語だと推察する事ができます。
しかし我々の世界が滅ぶような事があっても、その後の世界にも人々は生き残り、たくましく生きています。
その様子が、この物語では全編に渡って描かれています。
むしろ滅びた後の世界で、苦しみながら生きていく人々の様々な雄姿が次々と描かれています。
そこにこの物語の救いと魅力があるように思われます。
世界にどのような事があっても、世界が滅びようとも、それでも人類は生き残りたくましく生きていく。
世界に順応し、植物を育て、家畜を育て、楽しみを見出し、生きていく。
そのように考えると、世界の終末が訪れるような事があっても、我々はその後の世界で苦しみの中にも喜びを見出し、時に歌い、恋をし、生きていくのであり、それが激しい攻防が繰り広げられるこの物語に内包された、隠れたテーマであると思います。
そして、そのような部分にこそ、生きる事に対する救いと安堵があるのではないか、と思います。
神風怪盗ジャンヌ
- コミック
- 関連する神話/伝承:ジャンヌ・ダルク

漫画自体は主人公がジャンヌダルクの生まれ変わりという設定で、昼間は普通の女子高生をやりながら、夜になるとジャンヌダルクに変身し悪をやっつける正義のヒーロー的なお話です。
物語の終盤に差し掛かると、ジャンヌダルクが生きていた時代にタイムスリップするのですが、私自身はそこで初めてジャンヌダルクという人が一体どういう人なのか、何を行なった人なのかを知りました。
それまでは単純に漫画が面白くて読んでいただけなので、ジャンヌダルク自体には興味も関心もありませんでしたが、この漫画をキッカケに書籍や映画、ネットで彼女について調べました。
100年戦争では周りの男共を率いてフランスに勝利をもたらし、のちのフランス王戴冠にも貢献、しかしその後敵軍の捕虜となり魔女裁判にかけられ、わずか19歳という若さで火刑に処される。
この一連のお話も漫画には出てきますが、とても重要な見所シーンだと思います。
歴史も学べるし、物語自体もとても面白い漫画です。
ちなみにジャンヌダルクは現在カトリック教会における聖人とされています。
かみちゃまかりん
- コミック(少女漫画)
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

指輪を使い「神化」することで、神の力を授かるという設定。
主人公がアテナと神化する際にはオリーブの葉と実、槍を持っているなど、その神格を象徴するモチーフを把握することができる。
アポロン、アレスといった比較的メジャーな神格のほか、ニュクス等のややマイナーな神格も登場するため知識が得られた。

非常に可愛らしい絵柄であり、ギャグも散りばめられた明るい雰囲気のなかテンポ良くストーリーが展開していくため、ちょっと落ち込んでいるときなんかにも読める点が好きです。
また話の本筋はシリアスだったりするのも奥が深くて好きだな、と思うポイントです。
アテナ、ニケ、アポロンなど様々なギリシア神話の神が出てくるため、自然とその名前と勝利や太陽など何の神なのかを覚えることができました。
「アテナが勝つときにはニケが必ず勝利する」といった豆知識も所々に出てきます。
ギリシア神話がどんな話か具体的に知る、というよりはそういった雑学的要素を身に付けられました。
孔雀王
- コミック
- 関連する神話/伝承:密教

密教と信仰、そこにバイオレンスを交えて現代を描いたバイオレンス漫画。
少し軽い感触ながらも神話に興味のない最近の若者が作品を通じて神話に多少なりとも興味を抱くきっかけになった作品だと言える。
黒執事
- コミック、アニメ
- 関連する神話/伝承:キリスト教、ヨーロッパにおける悪魔の伝承

黒執事は、家族を非業に奪われた少年が悪魔と自分と双子の兄の魂を対価に契約を結び、復讐をめざすというストーリーです。
悪魔は執事の姿をして少年に仕えており、それがタイトルになっています。
絵柄は近代的なうつくしいもので、エピソードにも最近のはやりをとりいれていますが、従来的なキリスト教やそれにまつわる悪魔の伝承の典型もおさえています。
まず、名前の大切さ。悪魔は本名を明かさない、ということ。
悪魔・仮名セバスチャンは名を明かしません。
そして、主人公の少年も本名が明かされていません。
これは、悪魔伝承によくある「名を明かすと魂を縛られる」という伏線のあらわれと解釈できます。
また、悪魔の本性の姿かたちも、カラスであったりたこ(西洋では悪魔とされる)であったり、キリスト教の邪悪を象徴する生き物が多様にとりいれられています。
セバスチャンはねこ(魔女の象徴)を偏愛しています。
人間に近いかたちの悪魔の姿のセバスチャンは針のようなヒールの姿をしていますが、これも「悪魔にはかかとがない」という伝承を体現した姿です。
悪魔は魂を対価に契約を結び願いをかなえるが、その結末は不幸というのも典型的なヨーロッパのキリスト教伝承にあるものです。
クリスタルドラゴン
- コミック
- 関連する神話/伝承:古代イギリス・ローマ・ヨーロッパの伝承や神々など

金髪碧眼のケルトの村に生まれた、黒髪碧眼の女の子。
存在を疎まれたために自分の出自を知るべく、剣士となり村を旅立つお話です。
クリスタルドラゴンという伝説の龍が何かを知っているという噂……。
RPG要素満載でワクワクします。
ケルト神話を元にしたエピソードが沢山出てくる作品ですが、この主人公のように見た目が普通と異なって生まれた場合、その赤ちゃんは「妖精が取り換えた子」として妖精界に返すため木の下に捨てられることが歴史上実際にあったと知り、衝撃を受けました。
<体のよい子殺し>みたいなものです。

魔法や妖精、精霊、神などについて、古代の伝承を交えて物語が作られています。
古代のイギリスやヨーロッパの生活、バイキング、ローマの歴史も絡められているので、壮大で想像力をかき立てます。
絵も美しく、興味深い内容です。
ストーンヘンジについても話があり、現実には解明されていませんが、この物語を読んで人知が及ばない儀式のものだったかもと想像しています。
ただ、40年以上続いてまだ完結しておらず、数年に1冊しか出ないので、最後まで終わってくれるのか不安ではあります。
ゴッドサイダー
- コミック
- 関連する神話/伝承:旧約聖書など

昨今では様々な作品で登場する、ルシファーやミカエルといった大天使たちを初めて知ったのはこの漫画でした。
思い返してみると、大日如来とルシファーが戦うという超カオスなバトル漫画なのですが、この作品と出合わなければ神や悪魔にロマンを感じることは無かったかもしれません。
コレットは死ぬことにした
- コミック(少女漫画)
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

薬師の少女と冥界の王、という取り合わせのカップルをメインに、ピュアな恋を描いた作品。
メインヒーローのハデスがモチーフになっているものの、ペルセフォネが出てこないのが特徴。
ただし、メンテー(ミント)はまた原典と違った形で登場するほか、アポロンやディオニューソス、ヘルメスといったギリシャ神話のメジャーな神々が数多く登場する。

薬剤師のコレットが死後の世界の王、ハデスの看病をすることになるのですが、冥界の神秘的な風景や神様達の姿が美しいです。
冥界の仕組みや掟などの設定も面白く、ハデスの臣下達や敵対する者が登場して、コレットが次第に成長していくストーリーが温かい目線で描かれています。
金色のマビノギオン―アーサー王の妹姫―
- コミック(少女漫画)
- 関連する神話/伝承: アーサー王伝説

「中世騎士物語」などに描写されているような細かいエピソード、例えば「ベイリンとベイラン」のような、マイナーなキャラクターに関しても丁寧に描写がされている。
時代考証がしっかりとされており、参考文献リストなども完備されていて好印象。
基本的には伝承をなぞりつつ、オリジナル要素を違和感なく挿入しているところが面白い。
最遊記シリーズ
- コミック
- 関連する神話/伝承:西遊記

モデルとなった西遊記とは違って登場人物、三蔵、悟空、沙悟浄、猪八戒のキャラクター設定が面白いです。
- 三蔵は金髪のイケメンで短気でキレやすい性格の青年で一応は位の高い高僧
- 悟空は大地が生み出した黄色い目と金髪で無邪気な少年妖怪でとにかく腹減ったが口癖
- 沙悟浄は妖怪と人間の間に産まれ赤い目と赤い髪の青年妖怪でイケメンで女好き
- 猪八戒は恋人を妖怪に連れ去られ恋人を助けるために1000人の妖怪を倒してその血を浴び妖怪となってしまった青年妖怪
- 四人の中で一番冷静沈着なのが猪八戒で保父さん的な役割
四人は桃源郷の異変の原因を探るため、西城の天竺国へジープに変身する龍に乗って旅しますが、とにかく旅の最中で悟空と沙悟浄が口ケンカを始め三蔵が二人の煩さが嫌になり怒鳴り、猪八戒が宥める感じになります。
とにかく面白い設定のマンガでアニメ化もされています。
西遊妖猿伝
- コミック
- 関連する神話/伝承:西遊記

諸星 大二郎が描く、西遊記を元にしたお話。
本来の西遊記とはだいぶ違うところはあるものの、登場人物の名前や、大筋は似た様な物です。
原作の西遊記もかなり面白いものなので、西遊妖猿伝をあらかた読んでから、原作を読んで、もう一度西遊妖猿伝を見直すと、もうかなり面白いです。
3×3EYES
- コミック
- 関連する神話/伝承:インド神話

三つの目を持つ妖怪「三只眼吽迦羅」の少女パイと、彼女と出会ったことで、不老不死の存在「无(ウー)」となってしまった普通の高校生、藤井八雲が主人公の伝奇アクション漫画です。
物語は日本から始まりますが、中国、チベット、インドなど世界の様々な国を舞台に妖怪たちと戦い、スケールを大きく広げていくところが魅力です。
最初からラブラブなのに初々しい八雲とパイ、そしてパイのもう一つの人格である「三只眼」の恋愛関係にも注目。
ほぼオリジナルの妖怪も多いですが、三只眼周辺の設定はインドの神話(ヒンドゥー教教)がベースになっています。
パイの本当の名前は、ヒンドゥー教の女神「パールヴァティー」、最大の敵である鬼眼王(カイヤンワン)は、破壊神「シヴァ」というように。
もちろん基本的には名前を借りているだけで実際の神話とは大きく異なりますが、ここから興味をもってヒンドゥー教のことを知った人も多い作品だと思います。

サザンアイズは結構古い作品で、すでに完結しています。
インド神話に出てくる3大女神の1柱「パールヴァティー」をモチーフにヒロインが描かれています。
インド神話はギリシア神話と比べてそれほど有名ではないです。
私もこの作品から興味をもち調べはじめました。
サザンアイズは漫画にするにあたって、神話自体の設定を変え現代風にアレンジされています。
たとえば作中では神話に登場する神様は、妖怪のような超常的種族(設定ではサンジアンとよばれる妖怪)として描かれています。
インド神話でもとくに有名なシヴァ神が最終的なボスとして登場し、世界を一つにまとめ自身も融合することで全てを破壊し永劫の楽園を築こうとします。
なお実際の神話でも世界の終末に全てを破壊し新たな世を創造する神として、シヴァ神は描かれています。
漫画のほうでは日本人の主人公「藤井八雲」と恋仲になったヒロイン・「パイ(設定的にはサンジアンでシヴァと同属、神としてではなく妖怪という存在で描かれます)」が、狂ってしまった元パイの婚約者シヴァを倒し世界を救います。
シヴァ神は神話上ではパイのモデルであるパールヴァティーと結婚して幸せな生活を送っています。
漫画と違って修行が大好きで何をおいても瞑想している真面目な一面もあり、素行の悪さ(主に見た目)から恐れられていますが、意外に平和な神様です。
暇さえあれば座禅を組み修行に明け暮れているシヴァ神に、ちょっとしたいたずらをするのが女神パールヴァティ。
シヴァ神におしおきとして人間の漁師として降格され、反省させられてしまうエピソードもあるほど、ちょっととぼけた女神様です。
この漫画では敵同士になり、現代国家を巻き込み壮大に展開していきますが、神話ではシヴァ神のほうが節度があり生真面目です。
逆にヒロインのモデル女神パールヴァティーは殺戮の女神カーリー(神々の戦争時大暴れする戦神)やドゥルガーといった、どちらかというと大暴れして大被害をもたらす化身をもつ2面性があります。
どちらが主人公としてふさわしいのか?と後から神話を調べたとき不思議になったのを良く覚えています。
まあ女神のほうが人気があり華がある、ヒロインに丁度いいのかもしれませんが。
最後に、日本にもシヴァ神の存在は伝わっています。
大黒天と呼ばれる仏教の信徒です。
悟りを開くのに修行を頑張った結果でしょうか。
進撃の巨人
- コミック
- 関連する神話/伝承:北欧神話

進撃の巨人のネタバレ考察を見ていると、作者が北欧神話を題材にしていると分かった。
5巻の中で、「ユミル様」と人間に向かって話す場面が謎であったが、人間の先祖=巨人だという北欧神話を知ることで、巨人は元人間なのかという考察をし、読み進めることでそれが物語のキーポイントになっていることがわかった。
そのほかにも北欧神話に関連するワードがでてくるため、その関連性を探すのもこのコミックを楽しむポイントだと思う。

進撃の巨人が好きで、ふとなにが題材なのかを調べたところ北欧神話に近い話が多く出てきていました。
北欧神話でももちろん巨人も出てきますし、壁もでてきます。
神話の中では巨人が生まれ、人間が生まれ、巨人と人間の仲は悪化し巨人に滅ぼされてしまうという話のため、進撃の巨人を照らし合わせてみていくと非常に面白いです。
終末のワルキューレ
- コミック
- 関連する神話/伝承:北欧神話、その他世界中の神話

ラグナロクという北欧神話の世界観をベースに、世界中の神々と人間の代表たちが闘技場のような場所で戦う、ドラゴンボールでいう世界の命運をかけた天下一武道会のようなバトルを楽しめる作品。
神VS人間という、どう考えても人間側に分がないだろうというストーリーなのですが、人間側の参戦者も一般人ではないため良い勝負になり読んでいて楽しいです。
絵と見せ方が巧みだと思います。

人類の存亡をかけて神話や宗教の神々と人類史上の著名な偉人、武将(武人)、犯罪者などが一対一で勝負をするという話。
対戦する両者の生き様が丁寧に描かれており、例えば佐々木小次郎がなぜ宮本武蔵に敗けたのかなども、生い立ちから追って簡潔に描かれているため、感情移入がしやすくつい夢中になって読んでしまいます。
スプリガン
- コミック
- 関連する神話/伝承:キリスト教

このコミックを面白いと思うのは、聖書に基づきながらもその神話や古代遺跡が現代と比較してもオーバーテクノロジーの産物であるという設定です。
主人公はその古代遺跡を悪用しないように守る組織のS級特殊工作員(スプリガン)であり、主人公を含め「人間として、人類としての在り方」を読者に問いかけるように描写しております。
どちらかというと、孔子より孟子の考えに寄っていて、本来の人間の性は「悪」であり、それを「道徳」や「倫理」で抑えながらも、もがく人間模様も描かれており非常に奥の深い作品になっていると思います。
21世紀の現実では、AIやテクノロジーの発展とともに「倫理観」が問われておりますが、人を滅ぼすのは人かもしれないと思わせ、身の丈にあった生き方を人類全てに問わなければならないと考えさせられます。
聖☆おにいさん
- コミック
- 関連する神話/伝承:仏教、キリスト教に関する神話・伝承

漫画や映画で描かれているギャグの内容がほぼキリスト教や仏教に関する神話や伝説、伝承なので、どのエピソードを読んでもそういったジャンルの新たな知識が入ってきます。
そのせいで、かなり詳しくなったように感じます。
イエス・キリストとロンギヌスの槍の誕生が関わっているのはこの作品で知りました。
そしてその後、ロンギヌスのメスとロンギヌスのバキュームができて笑いました(笑)。
聖伝-RG VEDA-
- コミック
- 関連する神話/伝承:インド神話

血生臭く、敵味方関係なく登場キャラクターたちは命を落としてゆくものの、そこには愛情や憎しみという人間らしい感情が渦巻いており、命を燃やして生きているような彼らの姿は眩しく映る。
帝釈天や阿修羅、持国天……といった、仏教でおなじみの神格の名前は網羅されているといっても過言ではないほど。
どの神がどの神と婚姻関係にあるのか、などは読んでいるうちに自然と頭に入ってくる。
仏像のモチーフにもよくなっている神格が多く登場しているので、寺院などで見かける仏像を見るのが楽しめるようになる。

恐ろしい武神の男「夜叉」が、不幸な捨て子「阿修羅」とともに、勝ち目のない帝釈天討伐の旅に出る物語。
根底に流れるテーマは<血を超えた愛情>です。
登場人物はインド神話の神々で、さまざまな逸話どおりの設定となっていて勉強になります。
たとえば乾闥婆(けんだっぱ)王という魅力的な楽師の女性が出てきますが、実際のインド神話でもやはり敵方・帝釈天付きの楽師として登場します。
乾闥婆王という神の名のみ知っていましたが、詳しく知ることができたのはこの漫画のおかげです。

インド神話『リグ・ヴェーダ』を知るきっかけになりました。
東洋の神話をモチーフにしたものが好きで、作者のCLAMPの作画が大好きなため何度も読み返しました。
各神々のエピソードが面白く神話を調べたりどんな神なのかを調べたりしました。
聖闘士星矢
- コミック
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

小学生の頃に愛読していた漫画です。
現在のアラフォー以上はあの漫画でペガサス座の存在、形を覚えたといっても、過言ではないと思います。
また、子供のころにポセイドンやハーデス等、神話に出てくる名前を覚えたのも、後に様々な所で耳にする神話の名前に対する抵抗感をなくしてくれたように思います。

主人公の星矢はもちろんのこと、ギリシア神話を題材にした実在の神々がとても魅力的に描かれています。
特に、戦闘士星矢に登場する戦いの女神、アテナはとても可憐で可愛らしく、そして凛とした美しさがあります。
ギリシア神話のアテナが出てくる本を手にとり、アテナはゼウスの娘であることや戦いの女神であることなどの知識を私自信が得られた理由は、戦闘士星矢を読んだことがきっかけです。

初めて読んだのが小学生の頃だったかと思いますが、この漫画を読んだことで星座について興味を持つようになったかと思います。
太古の昔から空に浮かぶ星々に、どこか不思議な感覚を覚えた記憶があります。
また作中での戦いもギリシア神話の神々の争いを参考にしていることもわかりました。
女神アテナ率いる星矢たちが、オリュンポス12神であるポセイドンやハデスと争うストーリーで学ぶことができました。
正義と悪の戦いの中で成長していく主人公たちが描かれており、そこが個人的にもとても楽しい部分です。
ギリシア神話という題材を少年漫画に落とし込んだ素晴らしい作品だと思います。

過去の名作と評されることが多いが、ギリシア神話を多く取り入れた、少年漫画はこれしかないのではないでしょうか。
星座はだいたい、これで覚えました。
小学校の時でしたが、パンドラの箱の話。
この世の多くの厄災が箱には入っていたが、ただ一つ、最後に希望が残されていたという話。
これは印象に残っています。
NARUTO
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話、古事記

主に登場人物の技の名前に多いが、イザナギ、イザナミ、アマテラス、ツクヨミ、スサノオといった古事記に出てくる神々の名前を使用している。
私はこれらの名前が古事記に出てくるものと知らなかったが、ある時知ってそれ以降、古事記を読むようになった。
古事記の登場人物の兄弟関係に従って技の強さや相性も方向性が決まっており、個人的にはそこが非常に面白く、これがNARUTOの好きなところでもある。
ノラガミ
- コミック
- 関連する神話/伝承:七福神をはじめとする日本の神々

主人公である日本の神の1人(ただし最初は社を持っていなかった)である夜卜が、少女の壱岐ひよりや神器である雪音と交流するシーンや、妖を退治するバトルシーンが良いです。
また毘沙門天や恵比寿といった日本の有名な神さまと交流するシーンも好きです。
ひよりが夜卜のことを調べている際、恵比寿の名前は水死体という意味もあることや、毘沙門天にはヴァイシュラヴァナという名前もあることはノラガミで初めて知りました。
ハーピー
- コミック(山岸涼子)
- 関連する神話/伝承:ギリシア神話

ギリシア神話に登場する女面鳥身ハーピーを日本の女学生に移入させた作者の感性が見事だと思います。
ストーリーを通してエキゾチックな空気が漂い、独特な絵にとても情趣があります。

ギリシャ神話からのネタではあるが、洋を思わせる表現はなく、むしろ非常に東洋(アジア)の要素が強い作品であることにとても興味を惹かれました。
ハーピーという怪物を、妖艶で美しい女生徒に重ねてある点も魅力的です。
日出処の天子
- コミック
- 関連する神話/伝承:聖徳太子(厩戸皇子)

大学の授業で題材にもとられるほどよくできた、緻密な絵&ストーリーの作品。
聖徳太子(厩戸皇子)にはさまざまな逸話がのこされていますが、じつは本当に存在していた人物かどうかすら定かではありません。
ですが歴史の本に描かれた年表ほぼそのままに、ストーリーを無理なく進める山岸さんの漫画家としての手腕が天才的だと感じます。
聖徳太子はさまざまな不思議を起こし「人間を超える存在」とされていますが、そういった神がかりなエピソード(未来予知や異常な聡明さなど)が作品に多く登場しています。
火の鳥
- コミック
- 関連する神話/伝承:世界中の神話・伝承

神話の時代から現代に至るまでの日本の信仰と人間の関係を描いた作品。
日本以外にも世界中の神話・伝承をモチーフとしている。
手塚治虫さんならではの感触で信仰と言う考え方を現代に投げかけた新しい漫画だったと思う。時代をこえて非常に忠実に描かれている。
卑弥呼 -真説・邪馬台国伝-
- コミック
- 関連する神話/伝承:魏志倭人伝

かつて、邪馬台国に君臨していた女王・卑弥呼が女王になっていく話です。
当時の九州の中に国がいくつかあり、卑弥呼が統一していく話になっていくのだと思いますが、まだ物語が始まって間もないので、これからですね。
もうすでに面白いですが、原作がリチャード・ウー(浦沢直樹のヒット作にかなり関わっている人)なので、もっと面白くなっていくことは間違いないです!
伊藤潤二傑作集 10 フランケンシュタイン
- コミック
- 関連する神話/伝承:フランケンシュタイン伝説

伊藤潤二による生々しい点描で描かれたホラー作品。
「フランケンシュタイン」というとあのツギハギだらけの巨体の化け物を想像しますが、じつは「フランケンシュタイン」とはその化け物を生み出した(=蘇生させた)天才博士の名前です。
長年誤解していましたが、この漫画のおかげで知ることができました。
ベルセルク
- コミック
- 関連する神話/伝承:北欧神話・伝承

主人公の闘う対象が読み方によって人間の抱えるトラウマや業とも異形の神々とも捉える事ができ、読み返す度に様々な解釈ができる。
北欧神話のベルセルクとリンクしているところを探すのも楽しみのひとつ。
例えば作中で主人公ガッツが狂戦士の甲胄を身につけて痛みを感じなくなるという部分は、北欧神話のベルセルクが獣の皮を纏い痛みを感じなかったという逸話とリンクしている。
ジャンルはダークファンタジーだが、耽美すぎず泥臭さすら感じられるストーリーと幻想的で重厚感のある絵柄が魅力。
辺獄のシュヴェスタ
- コミック
- 関連する神話/伝承:中世ヨーロッパ・魔女狩り

中世ヨーロッパで行われていた「魔女狩り」をモチーフにした作品です。
魔女狩りの歴史は、ヨーロッパの文明を一時的に大きく後退させたとまで言われるほど凄惨なもので、文献からするとおよそ300年ほどの長きに渡り続いたようです。
密告・疑心暗鬼・決めつけ・虚偽・怠惰・虚栄心・理不尽。
魔女狩りのもたらしたありとあらゆる悪徳は、今尚ヨーロッパの”暗黒期”として語り継がれています。
そのような残酷な背景をベースとした作品ではありますが、この物語のテーマは、そんな状況の中でも決して失われることのない、強い意志を持った人間の魂の強さであり、また美しさです。
魔女狩りはあくまでもそういった、人の魂の高潔さをより際だたせるためのスパイスに過ぎません。
圧倒的な描写力で描き出される人間讃歌の物語に、心奪われること間違いなしでしょう。
ぜひ読んでほしい作品です。
鬼灯の冷徹
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話やエジプト神話など

地獄のお話を中心に日本神話やエジプト神話などが混沌と混ざった世界観をギャグで固めた作品です。
ところどころで神話などに関連する新キャラが登場した際には、神話や伝承そのものを面白く紹介してくれるので好きな作品です。

この作品は地獄を舞台にした作品で、コメディーですが日本神話や仏教、さらには昔話や海外の神話・伝承についてのストーリーもあり、楽しく読んでいるうちに、なかなか自ら進んで調べたり触れたりする機会のない事を知ることができます。
特に日本の地獄について、地獄の種類やその地獄で課せられる罰などについて詳しく触れられており、興味深い内容が多いです。
難しい文献はなかなか読む気になれないという方でも楽しく読むことのできる作品だと思います。

地獄が舞台となる作品なので、日本の伝承をもとにした神々や鬼など様々なキャラクターが出てきます。
特に、神様にまつわるエピソードや地獄のシステムについての描写が非常に細かいところが魅力的で、楽しく読みながら雑学としても役に立ちます。
日本だけでなく、西洋のサタン(悪魔)や中国の神獣なども登場して奥深い作品です。

閻魔様は何回目の裁判で登場するのでしょう?
どんな罪を犯すと地獄に落ちるのか、日本の地獄はいくつあるのか。
どんな刑場でどんな目を見るのか。
これらの疑問が、このコミックを読むと理解できます。
とは言え重い内容では無く、主人公の鬼灯と多彩なキャラクターが面白おかしく話を展開させてくれるので、ご安心ください!
封神演義
- コミック
- 関連する神話/伝承:中国神話、道教

紀元前11世紀頃の中国の国、周の軍師、のちの斉の始祖となる太公望(呂尚)が神の1人であったとして設定した物語です。
いろんな神、神を指導する神、神の弟子など、神様を擬人化し、戦いが繰り広げられ、太公望が知恵を凝らしながら相手を打ち負かすのが癖になり面白いマンガです。

封神演義を読むまでは、太公望の名前すら知らなかった私が、このコミックを読んだことがきっかけで中国の古代史、中国神話に興味を持つことができました。
悪女であるはずの妲己がとても魅力的に描かれており、このコミックのお陰で高校の世界史、特に中国史の勉強に夢中になることができ、世界史の成績が抜群に上がりました。

仙人界から人間界へ太公望(主人公)を始めとした仙人たちが登場し、歴史の変わり目に立ち会います。
妲己という仙人が殷の紂王を誘惑し、酒池肉林などを行い、殷王朝はどんどん腐敗していきます。
殷の民を守るため、周の武王が軍を率いて殷へ攻め入ります。
太公望も妲己を倒すために戦います。
殷王朝から周王朝へ歴史が変わる時、歴史を裏で操っていた存在が姿を表します。
全ての仙人たちの力を集結し、立ち向かいます。
史実に沿ったコミックで、重くなりがちな内容をいたるところにギャグが散りばめられており、笑いながら楽しく読むことができます。
途中までは敵だった仙人たちも、最後の戦いでは力を合わせて行くところがとても好きです。

中国の伝承神話をベースにした漫画。
世界が仙界と人間界に分かれている設定で、仙人の太公望が主人公。
少年漫画らしく、少年の姿で描かれており読者が感情移入しやすい。
周辺キャラも個性豊かに描かれており、特にヒール役の妲己は奔放な性格で魅力的。
魔探偵ロキ
- コミック
- 関連する神話/伝承:古代イギリス・ローマ・ヨーロッパの伝承や神々など

推理ストーリーの要素もあり、登場キャラクターのビジュアルも可愛く独特なので、非現実感な世界にひきこまれます。
あまり日本人には身近ではない北欧神話の知識が得られて、楽しいです。

北欧神話の神が探偵を営んでいる、という設定に惹かれた。
独自の設定を多く用いつつも、ロキとバルドルの確執といった要素は神話を踏襲している。
また、ミョルニルやレーヴァテインといった固有名詞などをふんだんに用いており、北欧神話モチーフの作品の中でよく耳にする固有名詞のほとんどは網羅されているといっても良い。

北欧神話に登場する神々が、悪戯の神ロキを中心に人間界での事件などに関わりながら、神々の秘密を解き明かしていく。
面白いのは、神々の神話の中での設定を、見事に現代社会と混ぜ合わせて描いている点だ。
ロキは悪戯の神らしく、姿は子供のまま探偵をしている。
大地を割る雷の神トールは学生になり、毎日アルバイトで生活費を稼いでいる。
しかしその反面、神話をモチーフとして神々の対立を描いていたりもする。
たとえば北欧の神々とは対立する立場にあるはずの巨人族が最高神オーディンの生みの親であったり、その子であるはずのロキ自身も巨人族の王ウトガルド・ロキとも関わりが強く、漫画作品内では同一神の別個体として描かれている。
フェンリル、ヘルなどのゲーム作品で馴染み深い名前の神々についても登場し、中でもヨルムンガンドはロキの息子であり、またその母となるアングルボザは、同じく巨人族の女である。
そして物語は神々の終焉ラグナロクに向け、巨人族も神も全てを巻き込んで加速していく。
このように、ただ名前ばかり有名となった神々についても、作品内ではストーリーと共に細かく説明が書き加えられている。

北欧の邪神であるロキは、度を越すプレイボーイっぷりから最高神オーディンの怒りを買い、神界から追放され人間界へと落とされてしまいます。
人間界で知り合った大道寺繭良と、闇野竜介(実はロキの息子で大蛇のミドガルズオルム)と共に人間界の魔を集めて神界へ戻るべく、探偵社を営みながら日々奮闘するストーリーです。
物語が進むに連れて、北欧神話に関する神々がたくさん登場していきます。
こちらの作品内の神々にまつわる設定や背景には、神話とやや異なる点もあります。
ですが主人公である邪神ロキの3人の子供達や、その子供達の母親であるアングルボダなども登場しますので、北欧神話と重ね合わせて読み進めるとコミカルに描かれたキャラクター達が絶妙に重なり合い面白味が格段に上がります。
ルーン文字なども使用されているので、読みや意味など学術的に興味深いネタもあり知識の1つになりました。

この漫画はロキを中心とした北欧神話の物語ですが、フレイヤとウルドがロキのことを愛しているなど実際の北欧神話とは全く異なる内容です。
尤も、実際の悪魔学を例に挙げると、あちらも「神話学者の妄想」という面があるので、この作品に関してもとやかく言えないですが。
真夜中のオカルト公務員
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話、アステカ神話など

アナザーと呼ばれる超常生物とのかかわりを主とする公務員になった青年が、安倍晴明の血筋をいかして問題を解決・アナザーと絆を築いていく物語です。
天使(キリスト教)、天狗(日本神話)、ウェウェコヨトル(アステカ神話の災い、好色、娼婦、音楽の神〕、パンドラの箱(西洋神話〕、悪魔アザゼルと少女の恋(キリスト教)、夢魔(西洋神話)、安倍晴明(日本の伝承、神話)など、浅く広く世界の神話を網羅しており、しらべてみると楽しいです。
ウェウェコヨトルはコヨーテ(犬)ですが、安倍晴明に狐と称されていたのも興味深いです。
日本の神社にまつられる犬や狼の眷属も、もとをただせば狐から始まった、という説もあるからです。
ミイラの飼い方
- コミック、キャラグッズ
- 関連する神話/伝承:エジプト神話、日本神話、西洋神話

サンリオでキャラグッズ化されるなど、キュートなキャラクターが登場しつつ、種族狩りなどのシリアスなテーマも内包する作風。
ミイラも鬼もドラゴンもバクも、おとぎ話風の神話のモチーフで登場する。
ミイラはエジプト神話における不死の象徴、鬼は桃太郎や日本神話にでてくる敵としてのモチーフ、ドラゴンは日本神話では善神や聖性の象徴、西洋神話では主に悪の象徴、バクは各地の神話(日本など)で睡眠時の夢を食う生き物である。
夢幻伝説タカマガハラ
- コミック(少女漫画)
- 関連する神話/伝承:日本神話

この物語でモチーフになっているのは、日本神話の天岩戸伝説についてです。
具体的な神格の名称も織り込まれているので、アメノウズメノミコトなど神様の名前も覚えられます。
また、勾玉がキーアイテムとして出てきたり、「中つ国」「豊葦原」といったワードも頻出するので、抵抗なく日本神話、こと古事記・日本書記に記述のある天岩戸神話の情報を頭に入れることができました。

月刊『なかよし』掲載。作者は怪盗セイント・テールの立川恵。
主人公・若狭結姫(わかさゆうき)は面倒見が良い小学5年生。
近頃不思議な夢を見るようになっていた結姫のもとにある日勾玉が空から落ちてくる。
不気味に思っていたその勾玉から現れた女性・鳴女(なきめ)は、結姫に四人の仲間を探し高天原(タカマガハラ)へ来て天照(アマテラス)さまを助けて欲しいと託すのであったが気を緩めた結姫は睡魔襲われ、次に目覚めたとき結姫が見た光景は、夢であったはずの世界”高天原”だった。
夢の世界高天原へ導かれた結姫のもとに集まった仲間は偶然か必然か結姫と同じ小学校へ通う同級生だった。
現実世界ではあまり縁がなかった仲間であったが、夢(高天原)で旅をし現実(中ツ国)で調べることで友好を深めていく。
そして結姫たちが見つけ出した真実はあまりにも受け入れがたい物だった……。
日本神話『岩戸伝説』をモチーフにした本作に、当時結姫たちと同世代だった私は大きく影響を受け、勾玉が欲しかったし夢についても興味をもった。
何より学校の図書室で日本神話について調べていたのは今でも記憶に残っている。
少女漫画ではあるが立川によって描かれる複雑に作られた世界観や物語、繊細な登場人物の動きや内面は大人になった今こそまた楽しめる作品であり、男性にもオススメしたい名作である。
八雲立つ
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話、出雲神話

主な舞台は現代となっていますが、現代編と古代編が行き交うストーリーとなっており、古代編には大国主神、素戔嗚尊、少名彦那、須勢理姫、事代主といった実際に日本神話に出てくる英雄や神々が登場します。
「日本神話」にも「八雲立つ」にも出てくる神々のうち、大国主神と、美貌の女神、須勢理姫が魅力的に描かれています。
古事記や日本書紀に興味を持ったことすら無かった私が、八雲立つを読んで大国主神が出雲大社の祭神であることを知りました。
また、歴史に授業において、古代日本史の成績が格段に上がりました。

神剣、巫覡、刀鍛冶と古代出雲の流れを汲む者たちが時を越えて現代で再会といったところから始まる物語です。
古い儀式や血統など土着的な要素がたくさん入っていて楽しめました。
スサノオが自らの結婚を喜んで詠んだ和歌「八雲立つ」には朝廷への恨みが隠されているという解釈もあり、本当のところはどうなんだろう、と神話自体にも興味が湧いて調べたりしました。(コミックならではの解釈でした)
しかしその過程で、神話学的には、国文学的には、当時の社会学的には、と様々な角度で古代研究がなされていることを知り、ひとくくりにスパッと判断することはやはり難しいんだなあと実感しました。
よいこの太陽信仰
- コミック
- 関連する神話/伝承:日本神話、アイヌ神話、アステカ神話、ギリシア神話、北欧神話など

世界各地のさまざまな神話を題材としたキャラクターが登場し、それぞれの神話の共通点や相違点を楽しく学べます。
アステカ文明が生贄になるのを名誉なこととと考えていたことや、日本のアイヌの信仰に登場する化物の逸話を知ることができるなど、ギリシア神話などより少しマイナーな神話についても、しっかりとスポットライトが当たります。
ラグナロック・ガイ
- コミック
- 関連する神話/伝承:北欧神話

この作品は北欧神話を題材としており、ラグナロクの前兆、フィンブルの冬の到来と人々の争い合う様が実際の神話から引用されています。
神話をモチーフにしながら、前半は読みやすいように巫女と主人公の生活ストーリーになっているが、後半からはスサノオミコトの復活を阻止するかどうかという伝記プラス怪奇のはらはらストーリーとなっているところが面白い。