【本当にいる】エクソシストは実在する!悪魔祓いの真実

フランシスコ・ボルハ(フランシスコ・デ・ゴヤ画、1788年頃)
フランシスコ・ボルハ(フランシスコ・デ・ゴヤ画、1788年頃)

「悪魔祓い」と聞いて、1973年公開の映画『エクソシスト』を思い浮かべる人は少なくないでしょう。

異常行動や暴言を吐く悪魔憑きに神の言葉をもって悪魔を払う儀式をおこなう祈祷師、それがエクソシストです。

フィクションの世界ではよく聞きますが、現実に悪魔憑きや悪魔祓いをするエクソシストは存在するのでしょうか?

エクソシストとは?

フランシスコ・ボルハ(フランシスコ・デ・ゴヤ画、1788年頃)
フランシスコ・ボルハ(フランシスコ・デ・ゴヤ画、1788年頃)

まず、エクソシストはどういうものなのか。

エクソシストとは簡単に言ってしまうとエクソシズム(悪霊追い出し、悪魔祓い)をする司祭のことを言います。

カトリックでは公的に認められている存在ですが、プロテスタントでは公的には認めていません。

しかし、個人的に悪魔祓いをする牧師は存在するという噂もあります。

プロテスタントの場合はエクソシストという言葉を使うことはないようです。

バチカンはエクソシストの存在をきちんと認めており、国際エクソシスト協会という組織も作られています。

映画『エクソシスト』の公開以降、悪魔祓いをして欲しいという要請が非常に多くなり、現在に至るまでエクソシストをおこなえる司祭は不足している状況だといいます。

エクソシストの元々の役割

エクソシストはキリスト教が成立してから存在するものですが、最初から映画のような悪魔祓いをしていたのかと言うとそうではありません。

古い時代になればなるほど、エクソシスト(祓魔師)は異教からの改宗の手助けをする役割を担っていました。

特にローマ古来の多神教から一神教のキリスト教への改宗は非常に困難で、改宗をしたいという人は精神的に辛いこともあります。

そういった人々が精神に異常をきたした時に、落ち着かせて不安を取り除いてあげるのがエクソシスト、祓魔師の大きな役割でした。

エクソシストになるには?

「職業・エクソシストってかっこいい!なりたい!」と思っても、簡単になれるものではありません。

カトリックに入信するのはもちろんのこと、きちんと勉強して司祭にならなければなりません。

司祭になるには、神学校に入って6年間勉強し、助祭(じょさい)という司祭のアシスタント職を約一年間経験してようやく司祭になることができます。

独身男性であることが条件でもありますので、既婚者は司祭にはなれません。

司祭になれたら、誰でも悪魔祓いが出来るというわけでもなく、悪魔祓いに関する講習を受ける必要があります。

これは日本ではおこなっておらず、バチカンでしか開催しません。

この講習で悪魔祓いについて勉強し、その後でエクソシストの先輩方にくっついて実地研修を受けます。

エクソシスト養成講習も難しい勉強が多く必要で、エクソシストとして独り立ちするにはかなりの時間を要します。

悪魔憑きとは?

エクソシストの仕事は悪魔憑きになった人の中から悪魔を祓うことですが、悪魔憑きとはどのような状態なのでしょうか?

映画『エクソシスト』などのホラー映画では、有り得ないくらい体が曲がったり、幼い少女なのにドスの効いた太い声で叫んだり、異常なまでの身体能力を発揮したりしていますね。

現実の悪魔憑きはというと、精神疾患とよく間違われることがあります。

自殺願望を持ったり、異常行動を取ったりするのは脳や精神的な病気の疑いもありますので、悪魔憑きではなく病気だったということも多いようです。

「悪魔がとりついてるんです!」と訴える人の97%は精神疾患の場合が多く、男性よりも女性に多い傾向があります。

しかし、病気では説明がつかない特徴もあります。それは、

  • 十字架や聖書などの宗教的なものを異常に嫌い、見せたり唱えたりすると苦しみだす
  • 本人が知らない国の言語を流暢にしゃべる
  • 異常な筋力の上昇。空中浮遊などの超常的な力
  • 知るはずもない事柄や人の秘密を知っている

これらはどれも超能力のような、病気とは考えにくいものばかりです。

このような症状があると一般的には「悪魔憑き」と判断されるようになります。

悪魔祓いの方法とは?

実際に悪魔祓いをするには、いくつか条件があります。

  1. 医学や心理学の知識を除外してはならない。
  2. 病気の疑いがないか確かめる(医療機関での検査など)
  3. 秘密を厳守する
  4. 司教の許可を得る

以上の条件をすべてクリアしないと、悪魔祓いは行えません。

特に①と②は非常に重要になってきます。

悪魔祓いをして欲しいという要請のほとんどは、検査してみると病気や精神疾患の場合が多く、通院や薬物治療、入院といった処置になります。

この段階で徹底的に現代医学や心理学を駆使して調べ上げ、それでも解決しなかったら悪魔祓いということになります。

あくまでもエクソシストによる悪魔祓いは最終手段ということです。

肝心の悪魔祓いの方法ですが、悪魔祓いには「聖書」「聖水」「聖油」「十字架」を主に使います。

悪魔祓いは聖書を唱えて「出ていけ!」と言うだけではありません。

悪魔祓いの目的は『悪魔に名前を言わせる』『悪魔に体から出ていく事を誓わせる』ことです。

この二つが出来てやっと悪魔が取り払われます。

まず、場所と体を聖水と聖油で清め対象者の体から悪魔を呼び出し、「お前の名前はなんだ?」とひたすら問い質します。

その間、暴れたり黙秘を続けたりすることがありますので、何時間も悪魔と対話をし戦います。

一日で終わらず、何日も、何か月もかかることもあり、悪魔祓いは非常に根気がいる儀式なのです。

日本で悪魔祓いはおこなっているのか?

残念ながら、日本のカトリック教会で悪魔祓いをおこなったとか日本人エクソシストがいるといった話は、記録に残っていません。

しかし、日本には古来から陰陽道や修験道による「悪霊払い」があります。

神道においても「祓う」というものがありますが、これは祭祀のひとつです。

陰陽道や修験道においてはキリスト教と似たようなもので、とりついた悪霊や変異を成した物の怪の類を呪文や加持祈祷によって払います。

長い歴史の中で神道、陰陽道、修験道が混ざり合い、地域によって異なった民間信仰の一部として悪霊払いが残されてきました。

現代でもお祭りや年間行事として悪霊払いをおこなう地域が日本全国に存在します。

また、民俗学だと悪魔憑きに近いもので「狐憑き」「いたち憑き」「犬神憑き」などがあります。

地域によって異なりますが、このようなものは基本的に「憑物筋」という家系が関係していますので、カトリックの悪魔憑きとは厳密には異なるものと言えます。

日本でカトリックの悪魔祓いが報告されない理由は、このような日本独自の風習や信仰があったからなのではないでしょうか。

まとめ

現代社会において悪魔の存在を信じている人はどれだけいるのでしょう。

映画の中だけの話だと思っている人が、きっと多いのではないでしょうか。

カトリック信者や神職者の中でも、悪魔の存在や悪魔憑きについては懐疑的な見方をする人々や教派も少なくありません。

しかし、バチカンでは「今も悪魔との戦いは続いている」と言い、エクソシストの教育と養成に力を入れています。

そして科学が進んだ21世紀の今も悪魔祓いを必要としている人は数多く存在しているのは紛れもない事実です。

日本人でも知っている有名なエクソシストと言うと、フィクションの世界を除けば、ヨハネ・パウロ2世でしょう。

264代目ローマ教皇で、在任中にも悪魔祓いを行っています。

悪魔憑きやエクソシストは、題材にしている小説や漫画、映画が非常に多く、私たちの心に謎と神秘と恐怖とロマンを与えてくれます。

近年の作品で一風変わったエクソシスト作品で『ザ・ライト』という映画があります。

アンソニー・ホプキンスがエクソシスト役をやっていますが「現代のリアルなエクソシスト」というテーマの作品です。

ホラーというよりヒューマンドラマ寄りの作品ですので、エクソシストがどんなものかを知りたい方は、一度観てみてはいかがでしょうか。

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