アーサー王伝説|【アーサーの一族】ユーサー・ペンドラゴン

ユーサー・ペンドラゴン
ユーサー・ペンドラゴン(ハワード・パイル画、1903)
  • 類別:アーサーの一族
  • アーサーとの関係:父

アーサーの父にして、ブリトン人の王。 客観的にみると、 どうやら「暴君」に属するタイプに見えるのだが……?

アーサーの父「ユーサー・ペンドラゴン」

多くのアーサー王関連の文献の中で「アーサーの父」とされている人物。

統一されていたブリトン人の王であった。

ただし後世の王のように、その国における絶対的な権力を独占していたわけではなく、各地に散在する王やそれに準じる領主たちを束ねる盟主的存在であったようだ。

ユーサーの称号である「ペンドラゴン」は、「筆頭者」と解釈できる意味を含んでおり、その点から見ても古代の部族国家の筆頭者としての性格を見て取ることができる。

また、ユーサーはいつの頃からかマーリンを側近として使い、その意見を聞きながら政治を執っていたようである。

これは古代ケルト民族において、支配は王とドルイド僧の筆頭者の合議によって行われた事実を反映しているともいわれる。

ただ「アーサー王の死」では、マーリンはイグレーヌ誘惑の時にスカウトされたことになっている。

このように、ユーサーの権力は非常に不安定なものであったため、彼が死去すると、国内は群雄割拠の状態になってしまう。

このため、息子アーサーはまず石に突き立てられた剣を抜いて「ユーサー(ペンドラゴン)の後継者」であることを証明し、しかる後に自分に反抗的な王侯を討伐して、ブリテンの再統一を行わなければならなかったのだ。

王としてのユーサーだが、やったことはといえば美人の女房を寝取るために魔法使いと組んでペテンを働いたり、適当な理由をつけて亭主を抹殺したりとロクなことではなかった。

どちらかというと「暴君」に属するといえるだろう。

後継者がいてもいなくても、彼の支配に対する不満というのはあちこちに蓄積していただろうし、彼が死んだというニュースが伝われば、彼らが一斉に蜂起したとしても別に不思議な話ではない。

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