- 種別:地名
アーサーの居城の名。恐らくブリタニアのどこかにあったと思われるが、具体的にどこなのかはわかっていない。
キャメロット
アーサーはブリトン人の王だが、その当時のブリトン人の居住地(ローマの支配したブリタニアと微妙に重複する)は、いくつもの小国の連合体だったようだ。
アーサーの配下に、アーサーと同等の「王」の称号を持つものが多いのはこのためだ。
アーサーはその中の「ログレス」という国の王であり、同時にブリトン人の国家連合の盟主であったらしい。
そのログレスの中心地であり、アーサーの居城があったとされるのが「キャメロット」だ。
とはいえ、この地名は古くから現在のイギリスに存在したものではなく、フランスの吟遊詩人クレティアン・ド・トロワの詩に初めて登場したものである。
マロリーの「アーサー王の死」においては、キャメロットはウィンチェスターである、と明言されているが、この説を主張しているのはマロリーだけで、現在の学者にもさほど支持されているわけではなさそうである。
キャメロットの城は、アーサーが自分の治世の時に新造したものである。
彼の父ユーサーがどこに王城を構えていたかについては、マロリーは何も書いていない。
ただ、モンマスの「ブリテン列王史」には、ブリタニアの中心地はずっとロンドンであったというような書き方がされている。
アーサーが石から王者の剣を抜いたウェストミンスター寺院は、現在のロンドン市内にあるので、ユーサーの根拠地はロンドンだったように思われる。
ただし、ウェストミンスター寺院の建築は12世紀なので、アーサーの治世とされる6世紀には影も形もなかったのだが。
そのキャメロットの城の形式だが、あくまで伝説の方を主体にするのなら、ウェストミンスター寺院やロンドン塔(建造は11世紀)のようなものであったのではないかと想像するしかない。
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