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アーサー王伝説は「史実」がないからこそ中世騎士物語の代表になった

ボールス卿とライオネル卿
ボールス卿とライオネル卿

中世の騎士たちを扱った説話群としては、アーサー王関連のもの以外にシャルルマーニュ(カール大帝)や、ディートリッヒ(テオドリック)など、実在した王を中心としたものが現代に伝えられている。

現代から見れば、アーサー王伝説の方が本家本元に近く、他は悪くいえば劣化コピーのようなものだと考えられがちだ。

だが、起源はというと、劣化コピーに見えるシャルルマーニュやディートリッヒ伝説の方が古いのだ。

何より、彼らはアーサーとは違い、信頼できる資料で実在がしっかり裏付けられるからだ。

特にシャルルマーニュは、彼抜きではヨーロッパの中世史は語ることが不可能な程重要な位置を占めている。

これらの伝説は、まず優れた治績を示した王の存在があり、その死後も名君伝説が語り継がれ、さらに適当に家臣の武勇伝などが追加され、自然に成立したものだと思われる。

日本にもある名君諸国漫遊話と、成立のパターンはほぼ一緒である。

そういう状況で、なぜアーサー王伝説のみが「主流」として残り、他が衰えていったのかというと、アーサーの方が歴史的存在としては非常にあやふやだったためだと考えられている。

つまり、寄って立つべき史実がないから、詩人や文人が知恵を絞って、ゼロから武勇伝を創作しなければならなかったのだ。

また、フィクションに近いため、頭の固い修道院の僧侶などに「事実と違う誤った歴史書である」と断罪されることもなかった。

このようにして、継続的に体系化が進められたアーサー王伝説が、現在において「中世騎士物語の本家本元」という扱いを受けるようになったのだ。

なお、シャルルマーニュ伝説やディートリッヒ伝説にも、かなりユニークで楽しめる逸話が含まれている。

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