【アーサー王伝説の雑学】ランスロットとトリスタン

アーサー王

実も蓋もなくいってしまうと、ランスロットというのはアーサー王伝説中において「最強キャラクター」であることを宿命づけられた存在である。

このため、最強になるため他の登場人物の説話を、自分のものとして取り込んでよいという特権を与えられるようになった。

というわけで、ランスロットはアーサーの剣エクスカリバーの説話を取り込む形でアロンダイトを得る。

また息子ガラハッドは、石に刺された剣を抜くという、アーサーの代表的なエピソードまで取り込んで、自分のものにしてしま った。

アーサーとエクスカリバーの描画(1906年)
アーサーとエクスカリバーの描画(1906年)

こんな感じでランスロットの次のターゲットにされたのが、独立した説話を豊富に持つトリスタンである。

まずランスロットは、トリスタンとイゾルデの「不倫の愛」というのを自分とグィネヴィアとの間のものとして取り込んだ。

トリスタンには、「金髪のイゾルデ」と「白い手のイゾルデ」という2人の女性が妻や恋人になってくれるのだが、ランスロットはこのあたりも勝手に持って行ってしまう。

トリスタンとイゾルデの様子を窺うマルク王
トリスタンとイゾルデの様子を窺うマルク王(『The End of The Song』、エドモンド・レイトン画)

その結果、ランスロットは2人のエレインという女性と関わりを持つことになる。

このうち片方は、ガラハッドを産んだカーボネックのエレインだ。

もう1人は、「シャーロットのエレイン」と呼ばれる。

ランスロットとは基本的にグィネヴィア一途のキャラクターで、カーボネックのエレインと結ばれたのは、父を超えるスーパーキャラクター・ガラハッドを登場させるための「特例」に過ぎない。

『Sir Galahad(ガラハッド)』
『Sir Galahad(ガラハッド)』(ワッツ画)

だからシャーロットのエレインは、「ランスロットに恋してもいいけど、ランスロットに振り向いて貰うのはダメ」という厳しい条件を突きつけられ、片思いで衰弱して死ぬという悲劇の役が割り当てられた。

しかし、後世の詩人テニスンはこうした姫の境遇を哀れに思ったのか、「シャーロット姫」という詩で美しく歌い上げている。

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