私たちが見て美しいと感じるものには、得てして決まった比率の形が存在するということをご存知でしょうか。
その形とは縦:横、1:1.618という比率の長方形にあります。
見た目はごく普通の長方形なので、なんだただの長方形じゃんとお思いになるかもしれません。
しかしこの長方形、ある秘密をもっているのです。
黄金比でできたものは美しく見える
長方形は縦と横との関係が黄金比になるとき、もっとも美しくみえると言われています。
下図は、縦横の辺の長さが黄金比になっている長方形です。

この長方形の中に正方形を作っていくと正方形が無限に生み出せます。
そして、その正方形の中心を繋いでいくと見事な螺旋状の渦が描かれます。
その渦のイメージにはオウムガイの殻を思い描いてもらえばいいと思います。
実際にオウムガイの殻は黄金比をもっています。
自然界で生きているオウムガイのあの美しさは、黄金比だからこそ感じられるのかもしれません。
黄金比でできたものはたくさん存在する
説明だけですと小難しいため、私たちの身の周りにある黄金比の商品を紹介したいと思います。
黄金の比率をもつ物質には、人間に美しいと感じさせる効果があるというのは先ほど説明した限りです。
私たちは品物を選ぶ際、無意識のうちに黄金の比率に引き寄せられているといったら、どうでしょう。
例えば、デジカメやiPodなどの電化商品、アルフォートやポッキー、グリコなどのパッケージもほぼ黄金長方形といえます。
こういった大ヒット商品には味や品質の確かさの他に、視覚的に訴える効果もあったのだと分かります。
また、よく知られているのが芸術作品には黄金比が使われていることが多いことです。

この肖像画が美しく安定して見えるのは、横たわっているレカミエ夫人の姿が黄金比の長方形に収まるからだと言われています。
そのほか、最後の晩餐、ミロのビーナス、富嶽三十六景、クフ王のピラミッドまでもが黄金の長方形で作られています。

黄金の比率は、どこの国でも通用する世界基準の美しさの指標になるわけですね。
もっとも、芸術家の人たちはそれを知らないで作成しています。
芸術を追求し続けた結果、作品に黄金の長方形が現れたと考えて良いでしょう。
さらに、黄金の比率は自然界に数多く見られます。
ひまわりの種の数や松ぼっくりの笠、蝶々の羽などです。
これは自然界がそれほど美しいものに溢れているということを示唆します。
また、人間の体にも黄金の比率が含まれるということも最近の調査で分かってきています。
一世を風靡したオードリーヘップバーンの顔の形には黄金の長方形があるといいますから、どんな種類の美しいものにも黄金比が隠れているといえるでしょう。
黄金比を意識して生活すると、周囲の景色がさらに美しく見えるかも
私たちの身の周りには美しいものが溢れています。
それは自然であったり、歴史的建造物、はたまた人間の知が産んだ商品たち。
それらを繋ぐ美の共通認識「黄金の長方形」を見つけるために旅に出てみてはいかがでしょうか。
それを意識することで、周囲の景色がもっと美しく見えるようになるかもしれませんよ。
数の言葉(自然数)を生み出せる、数学からの送りモノとしての『自然比矩形』の縦・横比にも注力したい。
この物語は、絵本「もろはのつるぎ」