前回の記事では、聖闘士星矢とギリシア神話の深い関係性、そして主人公ペガサス星矢のキャラクター設定にいかにギリシア神話が関わっているかをお伝えしました。
今回は壮大な物語を彩るキャラクター達の中から、星矢の心強い仲間たちと、その父「城戸光政」、そして彼らとギリシア神話の深い関わりについてご紹介していきます。
城戸光政
城戸光政は、星矢とこれからご紹介する仲間たち全員の父親です。
アテナ城戸沙織を除いて、彼らは皆同じ父を持つ兄弟ということになります。
城戸光政は、危機に瀕していたアテナを偶然保護することになりました。
そしてアテナを養子にして「沙織」と名付け、彼女を守るために自ら100人の子をもうけ聖闘士候補生としたのです。
これは多くの美女と関係を持ち、数多の半神半人の英雄を生み出した主神「ゼウス」の伝説をなぞらえているとみて良いでしょう。
アテナ城戸沙織

世界を守護する戦女神・アテナこと城戸沙織は、前回にも触れたようにオリュンポス12神の一人、女神アテナがそのモデルです。
神話でのアテナは、知恵、芸術、工芸、戦略を司る神とであり、生まれた時から甲冑を身に纏っていたとされています。
また、わがままで気の強い性格をしており、それが元で他の神々と争いになったり、人間界に戦乱をもたらしたりします。
この設定は聖闘士星矢にも引き継がれており、初期の城戸沙織も傍若無人な振る舞いをして、星矢らから疎まれています。
フェニックス一輝
聖域一誇り高き聖闘士・フェニックス一輝の鳳凰座は、16世紀末にオランダの天文学者ペトルス・プランシウスによって加えられた新しい星座です。
そのためギリシア神話には登場しない星座ですが、モデルとなった伝説の鳥「フェニックス」、つまり不死鳥は神話上でも有名な存在です。
不死鳥は夜に死に、朝に再び蘇る太陽を偶像化した不死身の神として、古代ギリシアやエジプトで崇拝されていました。
何度破壊されても完全に自己修復することができる鳳凰星座の聖衣の特性は、このフェニックスの伝説を基に創られたと言えるでしょう。
アンドロメダ瞬
フェニックス一輝の同腹の実弟にして、もっとも優しく純粋な心を持った聖闘士が「アンドロメダ瞬」です。
このアンドロメダ座は、ギリシア神話に登場するエチオピアの王女「アンドロメダ」がモデルとなっています。
アンドロメダといえば、英雄ペルセウスの神話で有名ですね。
ポセイドンが放った海の怪物ケートスを退治し、ペルセウスを救ったのがアンドロメダです。
神話上でも清らかな心の持ち主とされており、その設定はやはり「聖闘士星矢」の瞬に引き継がれています。
作中では、冥王ハーデスから「地上でもっとも清らかな人間」だと判断され、その依代にされるほどです。
ドラゴン紫龍

誰よりも義に厚く誠実な聖闘士・ドラゴン紫龍のドラゴン座には、複数のモデルがあります。
一つは、英雄ヘラクレスに課せられた12の試練の1つ、「ヘスぺリデスの黄金の林檎」に登場する、百の頭を持つ龍ラードーン。
もう一つは、ギリシア神話に登場する英雄達のオールスターチーム「アルゴナウタイ」が求めた至宝、「コルキスの金羊毛」を守護していた竜であると言われています。
そのどちらも、秘宝の守護神ともいうべき存在です。
盾を装備し、仲間を守るためなら自己犠牲も厭わない、ドラゴン紫龍にぴったりの星座だと言えるでしょう。
キグナス氷河
キグナス氷河のはくちょう座のモチーフは、ギリシア神話の最高神ゼウスの恋に端を発しています。
スパルタの王妃レダに恋したゼウスは、彼女と密会するため己の身を白鳥に変え、彼女のもとへ忍び思いを遂げました。
そして彼らの間に美女ヘレネーが生まれた際、それを記念してゼウスが空にはくちょう座を創ったと言われています。
キグナス氷河と言えば、氷山に閉じ込められた母親を救い出すために厳しい修行に耐え、聖闘士となったキャラクター。
恋人と母親の違いこそあれ、女性に対する深い愛情を示す氷河のキャラクター設定はこの逸話からとられているに違いありません。
まとめ
聖闘士星矢の魅力的なキャラクターを創り上げるにあたって、ギリシア神話が大きな役割を果たしていることをお分かりいただけたかと思います。
聖闘士星矢は、車田ワールドともいわれる作者「車田正美」の情熱溢れる作風に、ギリシアの人間味あふれる神話が融合して、新たな価値観を生み出している大作と言えるでしょう。
次回は聖闘士星矢の登場キャラクターの中でも特に人気の高い、黄金聖闘士(ゴールドセイント)の紹介をしていきたいと思いますのでご期待ください。
コメントを残す