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偶然の一致!?世界の神話に見られる共通点

『洪水』(ミケランジェロ・ブオナローティ画、システィーナ礼拝堂蔵)
『洪水』(ミケランジェロ・ブオナローティ画、システィーナ礼拝堂蔵)

世界中の神話を読み解いていくと、奇妙な事に数々の一致が見られます。

時代も距離も隔てた各地域で、どうしてこの様な事象が起きるのでしょうか。

普段気にしない部分かもしれませんが、考え出すと不思議ですよね。

今回はそんな世界中の神話の中で、共通してみられる点をかいつまんでご紹介してみたいと思います。

男神が死後の世界に下る理由は?

神話の共通項として代表的な話は、男神が妻もしくは恋人の死を悲しんで死後の世界に赴くと言うものです。

これは日本神話の中で、ヒノカグヅチを生んだ際に死んでしまった女神イザナミに会いに行くために、夫であるイザナギが黄泉の国に向かう逸話が有名です。

これとまったくと言って良いほど似た話がギリシャ神話に存在します。

オルフェウスとエウリュディケー
オルフェウスとエウリュディケー

オルフェウスと言う名の琴の名手が、毒蛇に噛まれて死んでしまった妻エウリデイケーを生き返らせてもらうために冥府に向かい、死の神様達を説得すると言う物です。

女神が不意に命を落としてしまい、男神が死後の世界に行くと言う大まかな概要はまったく一緒です。

この先のディティールも非常に似ていて、両者に共通する事は地上に出るまで後ろを振り返ってはいけない=妻を見てはいけないと言う戒訓が盛り込まれています。

イザナギの場合は、思わずイザナミの姿をみてしまい、醜く崩れた姿に恐れおののき逃げ出してしまいます。

オルフェウスの方は、元より振り返ってはいけないと死の神ハーデスに告げられていたものの、あとわずかで地上というところで喜び、思わず振り返ってしまうのです。

その結果、前者は黄泉の亡者を引き連れてイザナミを追ってくる、オルフェウスの方はエウリディケーがその場で石になってしまうと言う悲惨な末路を迎えるわけですね。

この二者間だけでなく、世界各地に男神が死後の世界に冒険する逸話は多く存在します。

洪水伝説は古代に起きた真実なのか

『洪水』(ミケランジェロ・ブオナローティ画、システィーナ礼拝堂蔵)
『洪水』(ミケランジェロ・ブオナローティ画、システィーナ礼拝堂蔵)

この手の話で有名どころをもう一つ。

それは洪水伝説です。

旧約聖書に登場するノアの箱舟が有名ですが、これは元になった神話があるのをご存知でしょうか。

その元ネタとは、シュメール神話です。

ノアに該当する人物の名はウトナピシュティムです。

シュメールの主神にあたるエンキ神が人類を一度滅ぼそうとして洪水を起こす話なのですが、細かいディティールもそのままユダヤ教に受け継がれたのか、下記の点が一致します。

●古い文明を一度リセットする意図がある
●心の清らかな人類の代表が一人選ばれる
●その人物は大きな箱舟を建造する
●世界が水にのまれる期間は大体7日
●水が引いた後、箱舟はどこかの山頂に到達する

いかがでしょうか。

こうしてみると、まるで有名な旧約聖書の話のように思えるでしょう。

しかし、これは全てシュメールの神話に登場している物なのです。

これがバビロニアに伝達すると、ギルガメシュ叙事詩と言う物語で言及されています。

ギルガメシュと言うのは英雄の名前です。

ライオンを捕獲したギルガメシュのレリーフ(ルーブル美術館)
ライオンを捕獲したギルガメシュのレリーフ(ルーブル美術館、原典

これもディティールは同じですが、興味深いのはここで洪水の到来を告げるのがウトナピシュティムになってると言う点です。

他にも付近の地域で同じく洪水伝説があるんですね。

地続きの地域であれば、過去の伝承が口頭で他地域に伝わるのは分かりますが、これが更に遠く離れたギリシャ神話のデウカリオンや、ヒンズー教のマツヤとして出てくるのは興味深いです。

それよりも遠く離れた中国や日本、アメリカ大陸のマヤやアステカ文明にも記述があるのはどうしてでしょうか。

長い年月をかけて口頭で伝わったとしたら、どれほどの年月がかかっているのでしょうか。

この事から立てられる仮説は、洪水自体は古代に本当にあったのではないかと言う説です。

これは多くの大文明が河川の付近で誕生した事にも起因します。

海や川の氾濫が誇張され、それが各地域の神話の中で逸話として盛り込まれた可能性は高いです。

神様が堕落した人類を一度滅ぼそうと言う点も、戒訓として考えると扱いやすかったのではないでしょうか。

テレビもネットも無い時代ですから、当時の人類の発想は今より似ていたと思います。

その結果、似たような自然現象にインスピレーションを受けて、似たような逸話を伝説的に盛り込んだのではないでしょうか。

地球規模でおおがかりな洪水があった可能性も

大洪水(ジョン・マーティン画)
大洪水(ジョン・マーティン画、原典

本当に地球規模の大洪水があったとする説も存在します。

ゼガリア・シッチンやベリコフスキーと言った有名人が提唱した説は、当時の地球に彗星や惑星が接近したと言うものです。

中には月の引力が乱れ、元々内部にあった大量の水が地球に降り注いだと言う物もあります。

もしくは氷でできた小惑星が接近、あるいは衝突した事が原因とする説も存在します。

この大洪水実在説は、そのどれもが現代でも決め手に欠けています。

つまり、まだ現時点では上記を確定する要素が見つかっていないと言う事です。

そうなると、あくまで仮説の域を出ませんが、そのすべてが惑星や彗星が登場する点が共通しているのも一興です。

まだまだある!神話上で共通する点

今回は代表的な所で男神の死後の世界巡りと、大洪水伝説を取り上げました。

しかし、世界の神話上で共通する事柄は他にもたくさんあります。

例えば多くの神話では、夫婦の神や人類が創生伝説に関わってきます。

旧約聖書は神が一人で一週間かけて世界を作ったとありますが、その直後にアダムとエバの夫婦が登場するのでこれもある種共通と言えます。

日本神話のイザナギとイザナミ、中国のフギとジョカ、ギリシャ神話のガイアとカオス等挙げればキリがありません。

太陽信仰もそうです。

どの国でも神話の中では太陽を最大の崇敬の対象としているケースが多いです。

中天に座す最も明るく暖かい星ですから、その分注目されるのも納得ですが、この対象もある意味共通と言えるでしょう。

個人的な解釈では、やはり洪水伝説でも触れたシュメール神話の存在が大きいと思います。

世界最古の文明とも言われるシュメール。

この時点である程度ディティールが固まっていたことにより、その後他地域との交流が盛んになって行く中でじわじわと伝達していった可能性が高いです。

もちろん、それがそのまま海を渡って日本やアメリカに来るまでには時間を要したとは思いますが、伝言ゲームの様にその都度形や細部を変えて流布したのではないでしょうか。

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